RF
RFとは?
血液検査におけるRFは、血液中のRF(リウマトイド因子)という物質の量を調べる検査です。RFはタンパク質の一種で、人間の免疫のなかで大きな役割を担っている免疫グロブリンのひとつであるIgGに対する自己抗体です。人の身体は、外から侵入する細菌・ウイルスなどの外敵に対して抗体をつくって対抗しますが、なんらかの異常が原因で自分の細胞を外敵と認識し、自らを攻撃してしまうものが自己抗体です。
RFを調べる目的
RFは、関節リウマチ患者の80%程度で数値が高くなります(=陽性)。そのため、関節リウマチの診断のためにRF検査が行われます。関節リウマチ以外にも、自己抗体が臓器や身体に障害を引き起こす病気(自己免疫疾患)や肝臓病である場合も、RFの数値が高くなることがあります。
RFの血液検査で見つけられる病気
血液検査でRFの数値を調べることで、次のような病気の診断に役立てることができます。
●関節リウマチ
●関節リウマチ以外の自己免疫性疾患
●肝臓病 など
RFの結果数値の見方
血液検査におけるRFの基準値は、15 IU/mL未満です(京都大学医学部付属病院より)。RF検査は、血液中のRFと対応抗原との反応で生まれる濁度を測定して行われます。
RFの血液検査の長所/短所
RFの血液検査は、採血によって手軽に調べることができる点が長所です。1〜2日で検査結果が出ます。
一方短所は、RF検査のみでは疾患の判断ができない点です。関節リウマチであってもRF検査で陰性になる事例もあれば、健康であっても陽性となる事例もありますそのため、関節リウマチの診断には、RF検査だけでなく、MRI検査、関節の超音波検査なども合わせて行い、総合的に評価されることになります。近年は、症状から関節リウマチである疑いが強い人に対しては、関節のなかにある滑膜という部分に抗CCP抗体という自己抗体が存在するかの検査も行われるようになっています。抗CCP抗体検査は、関節リウマチの早期診断に役立つとされています。
また、RF検査は血液検査のため、人によっては注射針による痛みを苦痛や恐怖に感じる場合があります。このストレスにより、副交感神経が緊張し、冷や汗、低血圧、顔面蒼白、吐き気などの症状が出ることがあります(「迷走神経反射」といいます)。
採血では、アルコール綿や手袋(ラテックスグローブ)、注射針などの物品を使うため、アレルギーを起こす可能性があります。アレルギーに心当たりのある方は、事前に医療スタッフに伝えるようにしましょう。
採血の部位や手技によっては、神経損傷が生じることがあります。神経損傷は、注射針が神経に触れることで起こります。採血時にピリッとした刺激を感じたときは、採血の担当スタッフに伝えるようにしましょう。採血による神経損傷の多くは、2~3ヶ月で自然に治ります。
RFの血液検査の流れ
RFを調べるには、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く
(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
京都大学医学部附属病院検査部 検査項目情報(一時サンプル採取マニュアル)
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)