CRP、高感度CRP検査
CRP、高感度CRPとは?
血液検査におけるCRPとは、血液中にあるタンパク質の一つで、急性反応性タンパクに分類されます。正確にはC反応性タンパク (C-reactive protein)といい、その頭文字をとってCRPと表記しています。身体のどこかに炎症があると高値を示すようになるため、炎症のマーカーとして広く利用されており、いずれも血液検査で調べることができます。
高感度CRPは、CRPよりもさらに検査の感度を高め、微量なCRPでも測定できるようになった検査項目です。体内で明らかな炎症が起こっていなくても、さまざまな病気の予測に役立てられています。
CRP、高感度CRPを調べる目的
CRP、高感度CRP ともに、体内で起きている炎症の有無を調べることが目的です。CRPは、感染症などによる急性の炎症反応がみられる場合、発症後10時間以内に検査値が上昇するといわれています。しかしCRPだけではごく小さな炎症反応や、少しずつ変化する慢性的な病態を把握することが難しく、高感度CRPという検査方法が確立してきました。高感度CRPは、通常のCRP検査の100倍以上の感度があるとされ、動脈硬化などの小さな炎症反応も確認することができます。CRPや高感度CRPの値のみで病態を十分に把握することはできませんので、そのほかの血液中のデータも参考にしています。
CRP、高感度CRPの血液検査で見つけられる病気
CRPを血液検査で調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
●細菌やウイルスによる感染症
●膠原病
●心筋梗塞
●肝炎、肝硬変
●悪性腫瘍(がん) など
また、高感度CRPを血液検査で調べることは、次のような病気の発症リスクを確認することに役立つとされ、研究が進められています。
●動脈硬化
●心筋梗塞、脳梗塞
●将来的ながん(大腸がんなど) など
その他、ストレスがあるかどうかを調べる場合にも、高感度CRPの血液検査を行うことがあります。高感度CRPについては、肥満やメタボリックシンドロームとの関連性、悪性腫瘍(がん)発症の可能性などの研究が進められています。
CRP、高感度CRPの結果数値の見方
CRPは、「肺炎球菌のC多糖体と沈降反応するタンパク」として発見されたことから、この名がつきました。現在では、さまざまな感染症や、何らかの原因による炎症があると、血液中のCRP濃度が高くなることがわかり、炎症マーカーとして広く利用されるようになりました。
身体のどこかで炎症が起きているときや、心筋梗塞などにより組織の一部が壊れたときは、免疫細胞が活性化され、「サイトカイン」という物質が放出されます。体内でサイトカインが増えてくると、おもに肝臓にてCRPがつくられることにより、血液中のCRP濃度が高くなります。
血液検査におけるCRPの基準値は、0.14mg/dL以下(日本臨床検査医学会より)です。正常な血液の中には、ごく微量しか存在していません。しかし、身体のどこかに炎症が起きているときや、組織の一部が壊れたときは、血液中のCRP濃度が高くなります。CRPはまた、食事による変動はみられませんが、妊娠や喫煙によってもその数値が上昇します。
高感度CRPの検査基準値は、医療機関によって違いがあります。ただし、その医療機関が行っている検査の基準値より高くなっている場合は、CRPでは判定が難しい、小さな炎症反応が起こっていると考えられます。高感度CRPの数値だけではなく、その他の数値も参考にし、将来的な病気発症リスクとして捉えましょう。
CRP、高感度CRPの血液検査の長所/短所
CRP、高感度CRPを調べる血液検査は、採血で手軽に行うことができますが、検査結果が出るまでの時間は検査を行う医療施設によって変わります。CRPは採血から1時間程度で結果を確認できますが、高感度CRPは、数日から1週間程度かかることもあります。
いずれも採血による血液検査となりますが、人によっては採血の際に注射針による痛みや、ストレスを感じる人もいるかもしれません。採血のときに冷や汗や吐き気を感じたり、血圧低下、顔面蒼白がみられたりした場合は、副交感神経の緊張で起こる「迷走神経反射」が原因です。
また、採血で使用する物品に対するアレルギー反応を起こすことがあります。とくに、感染予防で使用するアルコール綿には、アルコールが含まれています。アレルギーが心配な人はあらかじめ、採血を担当する医療スタッフに伝えておきましょう。
また、注射針の先が神経に触れると、神経障害が生じる可能性もあります。針を刺したときにピリッとした刺激を感じたときは、我慢をせずに採血を担当する医療スタッフに伝えましょう。
採血後、場合によっては皮下血腫やアザができることがありますが、数日以内で自然に吸収されます。
CRP、高感度CRPの血液検査の流れ
総コレステロールを調べる血液検査は、採血が行われます。ここでは、腕からの採血の具体的な流れについて説明します。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら針を抜く(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
日本臨床検査医学会「臨床検査のガイドラインJSLM2018」
人間ドックが受診できる医療施設を探しましょう。予約数が多い施設から探す「予約数順から探す」、
エリアから探す「都道府県で医療施設を探す」「プランを詳細検索する」の3つの切り口から探すことが出来ます。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)