CRP・高感度CRP
CRP・高感度CRPとは?
CRPとは、血液中にあるタンパク質の一種で、急性反応性タンパクに分類されます。正確にはC反応性タンパク(C-reactive protein)といい、その頭文字をとってCRPと表記しています。身体のどこかに炎症があると高値を示すようになるため、炎症を調べる検査として広く利用されており、血液検査で調べることができます。
高感度CRPは、CRPよりもさらに検査の感度が高く、微量なCRPでも測定できる検査です。通常のCRP検査では検出できない小さな炎症も測定できることから、動脈硬化や慢性炎症、心筋梗塞のリスクなど、さまざまな病気の予測に役立てられています。
CRP・高感度CRPを調べる目的
CRPと高感度CRPともに、体内で起きている炎症の有無を調べることが目的であり、血液検査によって調べられます。
CRPは、感染症などによる急性の炎症反応がみられる場合、発症後12〜24時間程度で検査値の上昇が確認されるとされています。しかし、CRPだけではごく小さな炎症反応や、少しずつ変化する慢性的な病態の把握には不十分な面がありました。
そこで、通常のCPRより高い感度で測定ができる方法として確立されたのが、高感度CRPです。高感度CRPは、通常のCRP検査の100倍以上の感度があるとされ、動脈硬化に関連する小さな炎症反応も確認することができます。
CRP・高感度CRPの血液検査で見つけられる病気
CRPを血液検査で調べることは、次のような病気の診断に役立ちます。
●細菌やウイルスによる感染症
●膠原病(リウマチ性疾患)
●心筋梗塞
●悪性腫瘍(がん)
●自己免疫疾患
など
また、高感度CRPを血液検査で調べることは、次のような病気の発症リスクを確認することに役立つとされ、研究が進められています。
●動脈硬化
●心筋梗塞、脳梗塞
●将来的ながん(大腸がんなど)
など
その他、ストレスがあるかどうかを調べる場合にも、高感度CRPの血液検査を行うことがあります。高感度CRPについては、肥満やメタボリックシンドローム、悪性腫瘍(がん)発症との関連性などの研究が進められています。
CRP・高感度CRPの血液検査の見方
血液検査におけるCRPの基準値は下記としていることが多いですが、医療施設によっては異なる基準を設けている場合もあります。
<CRPの基準値>
・0.14mg/dL以下
参考:日本臨床検査医学会「臨床検査のガイドラインJSLM2021」基準範囲・臨床判断値
高感度CRPの検査基準値は、医療施設などによって違いがあります。検査結果が受診した医療施設が設定している基準値より高い場合は、CRPでは判定が難しい、小さな炎症反応が起こっていると考えられます。
CRP・高感度CRPの血液検査の注意点
CRPは、平時の血液の中にはほとんど存在せず、身体のどこかに炎症が起きたり組織の一部が壊れたりすると数値が高くなりますが、平時であっても妊娠や喫煙により数値が上昇することがあります。
また、CRPや高感度CRPの値のみではどんな病気で炎症が起きているのかを確定することはできないため、そのほかの血液検査の結果なども踏まえ、総合的に判断されます。
CRP・高感度CRPの特徴
CRPは「肺炎球菌のC多糖体と沈降反応するタンパク」として発見されたことから、この名が付きました。現在では、さまざまな感染症や、なんらかの原因による炎症があると血液中のCRP濃度が高くなることがわかり、炎症マーカーとして広く利用されています。
体のどこかで炎症が起きたり、心筋梗塞などにより組織の一部が壊れたりすると、免疫細胞が活性化され「サイトカイン」という物質が放出されます。体内でサイトカインが増えてくると、おもに肝臓にてCRPがつくられることにより、血液中のCRP濃度が高くなります。
関連記事
「人間ドックのミカタ」関連記事
頸動脈超音波(エコー)検査は動脈硬化の早期発見が目的。検査費用や流れを解説
人間ドックが受診できる医療施設を探しましょう。予約数が多い施設から探す「予約数順から探す」、
エリアから探す「都道府県で医療施設を探す」「プランを詳細検索する」の3つの切り口から探すことが出来ます。
この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)