腫瘍マーカー – CA15-3
腫瘍マーカーCA15-3とは?
腫瘍マーカーCA15-3の血液検査は、血液中に含まれる2種類の抗体(「115D8」と「DF3」)の抗原を調べる検査です。抗体は、体内の異物である抗原に対抗するために作られる物質です。
CA15-3では、乳腺細胞にある脂肪球を覆う被膜の糖タンパクと、おもに乳がんによる肝臓の転移巣の細胞膜の成分に対する抗体を調べます。
腫瘍マーカーは、がんにかかっているときに増えるタンパク質や酵素の量を調べる検査です。がんになると、がん細胞が特異的な物質を産生するようになり、血液や尿、体液に存在するようになります。腫瘍マーカーにはいくつかの種類があり、健康時でもみられる物質もあります。
腫瘍マーカーCA15-3を調べる目的
腫瘍マーカーCA15-3の血液検査は、CA15-3量を調べることで、乳がんの可能性、とくに再発や転移の有無の可能性を知るために行われます。CA15-3はがんの進行によって、細胞が破壊されることで血液中に増えると考えられているためです。
また、乳がんの治療中であれば、治療効果をみるのに役立ちます。
腫瘍マーカー(CA15-3)で見つけられる病気
腫瘍マーカーCA15-3の血液検査は、下記の病気の診断に役立ちます。
●乳がん
腫瘍マーカーCA15-3の結果数値の見方
腫瘍マーカーCA15-3の基準値は、下記のとおりです(国立がん研究センターより)。
基準値: 28以下(U/ml)
医療機関によって基準値が若干異なります。
腫瘍マーカーCA15-3の血液検査の長所/短所
腫瘍マーカーCA15-3の血液検査は、乳がんの再発や転移性の乳がんの有無、治療効果を知るのに有効な検査です。血液検査によって調べるため、受診者の身体的負担が小さいこともメリットです。
一方で、早期の乳がんに対しては陽性率が低くなる傾向があります。また、乳がん以外の一部がんにおいて陽性率が20%前後~40%前後となるほか、乳腺の良性疾患、子宮内膜症や卵巣嚢腫などの婦人科疾患、肝機能障害でも陽性となることがあります。
腫瘍マーカーCA15-3の血液の血液検査の流れ
腫瘍マーカーCA15-3の血液検査は、採血によって行われます。具体的な流れは以下のようになります。
1. ひじの内側など血管がはっきりと確認できる部分を露出させ、専用の小さな 台に腕を乗せる。
2. 上腕部を「駆血帯」と呼ばれるひもやベルトで締める。
3. アルコール綿で消毒し、注射針を刺す。
4. シリンジ内の検体が血液でいっぱいになったら、アルコール綿で抑えながら 針を抜く
(ほかの項目の血液検査を行うために、複数の検体を取ることがある)。
5. 注射した部位に絆創膏を貼る。血が止まるまでの数分間、自身で圧迫しておく。
6. 完全に止血したら、絆創膏を剥がす。
<参考>
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院臨床検査科「臨床検査基準値一覧」2019年11月版
この記事の監修ドクター
マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)