大腸CT(CTコロノグラフィ/大腸3D-CT)検査
大腸CT検査とは?
大腸CT検査とは、CT(コンピューター断層撮影)によって撮影した画像を3次元的に表し、内視鏡(大腸カメラ)を挿入せずに大腸がんやポリープなどの有無を観察する画像検査です。CTコロノグラフィ、大腸3D-CT、仮想大腸内視鏡検査(バーチャル大腸内視鏡検査)などとも呼ばれます。
大腸CT検査の目的
大腸CT検査は、大腸の形状、位置、がんやポリープなどの有無を確認することを目的としています。内視鏡(大腸カメラ)を身体の中に入れることなく大腸の状態を観察できるため、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査に抵抗がある方や、なんらかの理由で大腸カメラ検査が受けられない方の大腸の検査として有用です。大腸がん検診のひとつとして行われるほか、手術前のシミュレーションに使われることもあります。
大腸CT検査で見つけられる病気
大腸CT検査をすることで、次のような病気が見つかることがあります。
●大腸がん
●大腸ポリープ
●大腸憩室症
●クローン病
●潰瘍性大腸炎 など
大腸CT検査の結果の見方
大腸CT検査は、断面を連続で撮影した画像から3次元的な画像を生成し、病変の有無などを観察します。大腸の形状やポリープなどはわかりやすく表示される一方で、病変の正確な色や固さを知ることはできません。また、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査と異なり病変のある組織を採取することができないため、大腸CT検査で異常が見つかった場合、より詳しい検査として大腸カメラ検査を行うことがあります。
大腸CT検査の特徴
大腸CT検査は、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査や大腸レントゲン検査(注腸造影検査)より身体的負担が少ないと言える検査です。
大腸カメラ検査や大腸X線検査を受ける際には、大腸内を完全に空にする必要があるため、検査当日に2L程度の下剤を服用します。大腸CT検査も事前に下剤を服用しますが、その量は半量以下ですみます。大腸X線検査ではバリウムを排出するために検査後も下剤を服用する必要がありますが、大腸CT検査の場合は検査後の下剤も不要です。
また、大腸カメラ検査は内視鏡(大腸カメラ)を、大腸X線検査はバリウムと空気を肛門から入れますが、大腸CT検査で肛門から入れるのは炭酸ガスのみです。炭酸ガスは気体であるため、カメラやバリウムと比べ身体への負担は少ないです。なお、炭酸ガスは空気の100倍以上の早さで吸収されるため、多くの場合、お腹が張る感覚や不快感は検査後しばらく経てばおさまります。検査自体は15分程度で、大腸以外の腹部の周辺臓器も観察できます。
メリットがある一方、大腸CT検査では表面に広がるような病変は見つけにくいデメリットもあります。6mm以上の病変の発見は大腸カメラ検査と遜色ないとされていますが、小さな表面型大腸病変の発見は、大腸CT検査よりも大腸カメラ検査のほうが優れています。また、大腸カメラ検査では、がんなどが疑わしい異変があった場合はその一部を採取し検査に回すことが可能ですが、大腸CT検査は組織の採取はできません。そのため、異変が発見された場合は大腸カメラ検査を受診することになります。
大腸CT検査は、大腸カメラ検査や大腸X線検査と同様に検査の前日から食事制限があり、当日は絶食です。常用薬がある場合には、あらかじめ医療施設に伝えておきましょう。また検査開始前に、腸の動きを抑える薬剤を注射します。この薬剤には少しぼんやりしたり、物が見えにくくなったりする作用もあるため、検査後は車の運転などは控えてください。なお、妊娠中の方、腸管閉塞が疑われる方、造影剤にアレルギーがある方などは大腸CT検査を受けられない場合があります。
大腸CT検査の流れ
大腸CT検査の流れは以下です。検査自体の所要時間は15分程度です。
1.前日から食事制限(検査食の場合もあり)、下剤、経口造影剤の服用を行う(前々日から行うこともある)。
2.検査衣を着て検査台に横になる。
3.消化管の動きを抑える薬剤(鎮痙薬)を注射する。
4.肛門から炭酸ガスを注入して大腸を拡張させる。
5.仰向けとうつ伏せの2体位でCT撮影を行う。
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この記事の監修ドクター
この記事は、以下の医師による監修を受け、MRSO編集部が作成しています。

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)