立ちくらみがする
立ちくらみのメカニズム
立ちくらみのほとんどは座っている状態や寝ていた状態から、起き上がったり立ち上がったりするときに起こる「起立性低血圧」といわれています。
人間の身体には重力がかかっています。物質の上から下へかかっている力です。寝ているときや座った状態から、スッと立ち上がってみると頭の血液は重力で下方向へ流れていきます。これにより、一時的に脳血液量が減少してしまうため立ちくらみが起こります。立ち上がったときに起こることから、「起立性低血圧」と呼ばれています。
しかし、このほかにも立ちくらみを引き起こす疾患はあります。例えば貧血です。貧血になると、血液の中でも赤血球とヘモグロビンの量が少なくなってしまいます。ヘモグロビンや赤血球は酸素を身体に運搬する働きがあり、相対的にすくなることから酸欠と同じ状況になり、立ちくらみがおきてしまいます。
また、立ちくらみはお風呂に長時間入っていると起こりやすくなります。俗にいう「のぼせ」という状態です。
さらに、一過性脳虚血発作や脳梗塞、不整脈などでも立ちくらみが起こることがあるため、立ちくらみが頻発する場合は検査を受けるようにしましょう。
立ちくらみが続く場合に考えられる病気
脳貧血、貧血、脳卒中、心不全、心筋梗塞、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、鉄欠乏性貧血、低カリウム血症、痔、各種がんなど
立ちくらみがする場合に原因究明のための検査項目
立ちくらみがする状態が続く場合の原因究明には、以下の検査を行います。
血液検査
貧血の目安となる赤血球数やヘモグロビン濃度を測定します。
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胃内視鏡検査(胃カメラ検査)
消化器官で出血や潰瘍(かいよう)があると、身体の血液が不足するため貧血の症状が出ることがあります。胃カメラで食道から胃内部を観察して、潰瘍や出血部位の確認を行います。
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胃レントゲン検査(胃バリウム検査)
消化器官で出血や潰瘍があると、身体の血液が不足するため貧血の症状が出ることがあります。胃バリウムで胃内部に潰瘍がないか確認します。
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便潜血検査
便の中に出血がないか調べます。大腸内部に潰瘍や腫瘍があり出血していると陽性反応が出ます。
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この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)