貧血の検査の目的とは?
貧血の検査では、血液中の成分を調べることで、貧血がないかどうかを調べる。貧血は血液中の成分である赤血球のヘモグロビン量が減ることで起こる。ヘモグロビンは酸素と結びつく性質があり、身体に細胞に酸素を運ぶ役割がある。そのため、貧血になると、身体のなかで酸素不足が起こり、動悸や息切れ、めまい、倦怠感などの症状が現れるようになる。
貧血の検査方法
貧血の検査は、血液検査によって行わる。貧血を調べるための血液検査の項目には次のものがある。
赤血球(RBC)
血液を構成する成分のひとつで、ヘモグロビンを含んでいる。赤血球数の基準値は、以下のようになる。
・男性:410~530万/μl(マイクロリットル)
・女性:380~480万/μl
※臨床検査医学会「臨床検査のガイドライン」より
ヘモグロビン(Hb)
赤血球中の赤い色の色素で、鉄分によって作られている。ヘモグロビンの基準値は、以下のようになる。
・男性:14.0~18.0 g/dl
・女性:12.0~16.0 g/dl
※日本臨床検査医学会より
ヘマトクリット(Ht)
血液中に占められる赤血球の割合を示したものだ。ヘマトクリットの基準値は、以下のようになる。
・男性:40~48%
・女性:36~42%
※日本臨床検査医学会「臨床検査のガイドライン」より
血清鉄(Fe)
血液中にあるたんぱく質と結合した鉄分の量を示したものだ。血清鉄の基準値は、40~188μg/dl。
※臨床検査項目の共用基準範囲より
MCV
赤血球の平均的な大きさを表したもので、貧血の種類を見分けるために調べる。MCVの基準値は、83~99 fL(フェムトリットル)。
※日本検査血液学会
MCH
赤血球中のヘモグロビンの量を表したもので、貧血の種類を見分けるために調べる。MCHの基準値は、27~34 pg(ピコグラム)。
※日本検査血液学会
MCHC
赤血球中のヘモグロビンの濃度の平均を表したもので、貧血の種類を見分けるために調べる。MCHCの基準値は、31~36 g/dl。
※日本検査血液学会
赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリットが基準値よりも低い場合は、貧血の可能性がある。とくに、血清鉄の値が低いと、鉄欠乏性貧血が考えられ、また、そのほかにもMCV、MCH、MCHCの検査値を総合的に判断することで、貧血の種類を判定する。

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)