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“ジーンな自分”に出会える300パーツ、
遺伝子をめぐる大冒険

Colorda編集会議で幾度となく話題にのぼっていた遺伝子検査。
全員興味津々でそろそろ自費で受ける者が出そうだったところ、ついに体験できる機会が。
遺伝子検査結果のとらえ方だけじゃない、ここぞとばかりに検査キット開発者や解析企業、はては研究者に遺伝子検査の未来を訊きに行く大冒険が、いま始まる!

2017.8.31

Vol.3 遺伝子検査が世界を変える!? もっと知りたい、ゲノム最前線&未来予想図

ゲノムの世界では今何が起こっている? 受ける意義は? 海外事情は? 今後どうなる? そんな疑問を専門家のお二人にぶつけてみた! ひとりは、Yahoo! JAPANが遺伝子検査キット「HealthData Lab(ヘルスデータラボ)」の解析を委託している、ジーンクエスト代表の高橋祥子さん。もうひとりは、サービス初期から連携している産業技術総合研究所研究員の瀬々潤さん。「遺伝子をめぐる大冒険」、いよいよ最終章。

遺伝子検査を受けるなら早めがいい!ゲノム情報は、よりよい未来への道しるべ

PROFILE

高橋祥子さん

たかはし・しょうこ●株式会社ジーンクエスト代表取締役。京都大学農学部を卒業後、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程に進み、在籍中の2013年6月に起業。一般向けの遺伝子解析サービスを主体にした、ベンチャービジネスを展開中。

ジーンクエスト代表自身の、遺伝子検査結果活用法

――高橋さんは、ご自身の遺伝子検査結果をどのように活用されていますか?

私の遺伝子検査結果は、腎臓結石のリスクが高かったんです。実際、うちの家系では、祖母が2回、母も1回罹っています。この病気はシュウ酸が原因なので、この結果を見てから、生のホウレンソウはやめたり、シュウ酸の多い緑茶から麦茶に切り変えたり、排出を高めるため1日の水分量を気にするようになりました。このように、同じ行動変容でも、明日から運動しよう!という漠然としたものではなく、小さなことでも的確な予防対策につなげられるのが、遺伝子検査の利点ですね。

それとお酒が弱いということが判明しました。最近は、強い人に合わせて飲まないとか、二日酔いは食道がんのリスクを一気に高めてしまうので、飲んだあとは必ず水を飲むようにしています。あと、飲み会で飲まされそうになったときは、断るのにも使えますね。「遺伝子的にムリなんで」って(笑)。

成果を社会に伝えることで、ゲノム研究を加速させる

――高橋さんはなぜジーンクエストを立ち上げたのですか?

うちの家系には医者が多いのですが、私自身は、病気を治すことよりも、どうしたら病気にならないかという、もっと根本の研究をしたいと思ったんです。それで生命科学に興味を持ち、大学では、ゲノムや生命に関する情報を病気の予防やメカニズムに役立てるための研究をしていました。

急速に少子高齢化が進み、医療にまつわる社会問題が山積みの世の中、この分野の研究は、これからますます推進していかなければなりません。でも、大学の中だけでは、それに必要な大量のデータを集めることができない。そこで、今ある研究成果をサービスという形で社会に伝え、それによって結果的にデータが集まる仕組み、研究とサービスのシナジーによって研究を加速させていく仕組みを作ろうと、会社を設立しました。

――同様のサービスを提供する企業が増え始めている中、ジーンクエストの強みは、どのような点にあるといえますか?

論文の選び方、エビデンスレベルの高さは、自負している点のひとつです。マウスではなく人を使った研究結果であることはもちろん、統計的な有意差があること、日本人のデータ、アジア人集団のデータがあることなどをポイントに、科学的根拠のある的確な論文を厳選しています。今、私たちがみなさんに解析結果としてお伝えしている内容は約300項目ありますが、1項目あたり2~3本の論文を使っています。読んだけれど使わなかった論文もありますので、読んだ論文の総数としては、1000を超えているでしょうか。

また、論文に即した正確な表現で結果をお伝えすることも心がけています。例えば、聴覚の遺伝子から音楽の才能について記載するような表現はちょっと違いますよね。それだと論文から飛躍した“憶測の解釈”になってしまいます。論文に忠実に表現しようとすると、場合によっては耳なじみのない特殊な言い回しになることもありますが、研究者からは高い評価を得ています。

もちろん、薬剤師兼弁護士、遺伝学専門の大学教授などから構成される倫理審査委員会も自社で設置しています。根拠にする論文のチョイスや、サービスとして提供する項目については、必ず第三者目線のチェックが入る体制を整えています。

私たちが個人向けのサービスをスタートしたのが2014年。データもだいぶ蓄積されてきて、現在は大学や研究機関など約10機関と提携し、共同研究も始めています。ビジネスとしても、やっと思い描いていたサイクルが動き始めたところです。短期的な利益追求ではなく、長期的な目線での仕組みを作っていきたいと思っています。

“自分にいいこと”すると、未来が変わる!?

――遺伝子検査の結果は、どのようにとらえ、解釈したらいいですか?

解析結果としてお知らせしているすべての疾患や症状のリスクは、遺伝要因と環境要因の両方が寄与します。遺伝的要因が低いからと言って、絶対に発症しないというわけではありません。その逆も然り。すべてのリスクが低い人もいないし、すべて高い人もいない。結局は個性で、いいとか悪いとかではないのです。知ることを怖がらずに、ただ役立てていけばいい。リスクは知っていても知らなくても変わらないのですから。

遺伝子検査は、健康診断を受けるのとは時間軸が違います。健康診断は、今がどうなのかを知るためのもの。未来はわかりません。一方、遺伝子検査は、将来のリスクやもともとの体質を見ているもの。どういう病気になりやすいとか、リスクがあるとかは、できる限り早く知っておいたほうが対策を打てますし、遺伝子情報は変わらないから、5年後10年後などに見返して役立てることもできます。だから絶対に早く受けたほうがいいと思うのです。

以前、東大の学祭でアルコール反応の遺伝子検査をやったのですが、予算の都合上500人分くらいの用意しかないところに何千人も並ぶほどの大反響でした。急性アルコール中毒のニュースも多いので、そういった観点でも、例えば、20歳になったら遺伝子検査を受ける、といった仕組みにできるといいですね。

――でも、若いときって、なかなか自分の健康には目が向かないと思うのですが、例えば、自分の健康が、生まれてくる自分の子どもに影響したりもするのですか?

昔は遺伝子が一方通行で子どもの体質に現れると考えられていたのが、現在は特定の部分については、生活習慣が遺伝子に影響を与えるということがわかってきています。専門的な言い方ではこれを「遺伝子が修飾される」と言い、この概念はエピジェネティクスと呼ばれています。

例えば、妊娠中に高塩分の食事ばかり摂っていると、そのお腹にいた子どもは塩分感受性が高まり、高血圧になりやすい体質に。さらにそれは、孫世代まで受け継がれていくという研究が、マウスで行われています。つまり、自分の健康を意識することは、まだ生まれてきていない未来の自分の子どもや孫にとってもいいことかもしれないのです。

ほかに、食事や運動、ストレス、また宇宙へ行くことによっても、「遺伝子が修飾される」という研究があります。ただこれらは、まだ「かもしれない」レベル。どんどんデータがたまってくればわかることが増え、近い将来、サービスとしても提供できるようになると思います。

遺伝子探究は、社会や国や医療が抱える問題を解決していく

――今、私たちが遺伝子検査を受けることの意義について教えてください。

現在、ゲノムの研究はアメリカがいちばん進んでいるのですが、人種のるつぼと言われているアメリカと、バックグラウンドが均質な日本とでは、ゲノムの背景がまったく違うことがわかっています。つまり、日本人のゲノムデータは、今後の日本の医療において重要な資源であり、貴重な財産。今、遺伝子検査を受けることは、自分のためだけでなく、社会のためにもなるのです。

遺伝子探究によって結果的にいろいろなことが解明され、それが必ず社会や国や医療が抱える問題を解決していくと思っています。また、そういう文脈で、未来について議論していくべきだと思いますね。

――ゲノム解析に携わる企業として、また研究者として、遺伝子検査が普及した未来をどんなふうに想像していますか?

今後、ひとりひとりが自分の遺伝子情報を知っていて当たり前の時代がくると思います。それは、ヒトゲノムの解析が始まったころから言われていたことです。倫理的な面や法的な面、安全性の面などいろいろ課題はありますが、技術的には可能なこと。コストも安くなっていくと思います。

今はまだ、わかることは限定的ですが、今後、確実に増えていきます。なんとなく体調が悪いとか、病気が進行し始めているのに自覚症状がないとか、そういうことが視覚化、数値化され、自分の身体のなかで何が起こっていて、今どうなっているのかが可視化されていく。それによって病気の超早期発見ができたり、結果的に治療法の開発につながっていったりするでしょう。

そして、そこから得た情報を、次のソリューションにどうつなげ、B to Bにどう活用していくかは、この業界だけでなく、国にとっても重要な課題。これからが大きな分かれ道になるので、いい未来に向け、ひとつひとつ時間をかけて、丁寧に取り組んでいきたいと考えています。

ゲノムはロマンだ!遺伝子検査を通して見る未来のゆくえ

PROFILE

瀬々潤さん

せせ・じゅん●お茶の水女子大准教授、東工大准教授などを経て、現在は、日本最大級の公的研究機関である国立研究開発法人 産業技術総合研究所の研究チーム長。ゲノム研究、機械学習に明るい。

遺伝子検査とゲノム研究、どこまで進んでいる?

――近年、日本でも遺伝子検査を行う企業が増え、人々の興味関心が高まりつつあるように思いますが、海外では、遺伝子検査はどの程度認知され、活用されているのですか?

一部の先進国での認知は、日本から見れば驚くほど高まっています。とくにアメリカでは、 7月に開催されたAmazonのプライムデー・セールスで、「23andMe」という会社が提供しているDNAテストキットが売上の上位に昇り、ニュースになりました。アメリカでは遺伝子検査が認知されており、興味関心や期待が高まっている状況であることがうかがえます。

重要なのは、なるべく多くのヒトゲノム情報を集めて解析と研究を進めること。今、世界で最も多くゲノム情報データを集めているのは、イギリス「UKバイオバンク」の50万人、北欧ではほぼすべての国民から遺伝子検査結果を収集した国もあります。アメリカも、オバマ政権時代に、100万人の遺伝子検査計画をスタートしています。このように、各国が、国を挙げて推進する流れが主流になってきています。

一方日本では、医療機関の協力のもとで収集している機関が大きく2ヶ所あり、「バイオバンクジャパン」が20万人分、「東北メディカルバイオバンク」が15万人分のデータを持っていますが、人口規模から考えるとまだまだです。

どの国も、予防医療や医療費削減につなげることを目的に遺伝子検査を進めていますが、今はデータを集めるのが中心で、その解析と活用については、これから発展していく状況ですね。

――規模感がわかりづらいですが、どのくらい集まれば医療に活かせるようになるのでしょうか?

特定の遺伝子変異で先天的にリスクが高まる病気、例えば乳がんの主要な原因の発見については、50万人規模のデータで十分です。一方で遺伝子が寄与することはわかっているけれども後天的な要因も大きい、というものに関しては、50万人ではまだ足りない。代表例は、糖尿病やアルツハイマーです。データが足りないのか解析が足りないのかはまだわかっていませんが、少なくともどちらかが足りないという状況です。

このように、予防医療に関しては、解析できていることは病気の種類によってさまざまですが、実際に発病した場合の治療、とくにがん治療に向けた研究は急ピッチで進んでいます。がんには細胞分裂の異常が多くみられ、その細胞のゲノムは大きく変化することがわかってきています。そこで、がんに関連する特定の遺伝子群のゲノム配列に合わせて、治療の種類、投与する薬を変えていくという活用が、数年以内に始まると言われています。今後5年くらいでより正確な情報が集まり、10年くらいで集約されていくと思いますよ。

先ほど登場した糖尿病やアルツハイマーなどへの活用だって、そのうちできるようになっていくはず。がん治療への活用のほうが先でしょうが、それでもそんなに遠い未来ではないです。

遺伝子検査は怖いもの? どう向き合えばいい?

――遺伝子検査に、ネガティブなイメージを持っている人も少なくないと思うのですが。

あえて自分の体質を知りたくない、わからない状況で過ごしたいという人は相当数いると思います。そんな人が怖いと感じているのは、「重篤な疾患を引き起こす遺伝子を持っていることが判明したらどうしよう」ということではないでしょうか。でも実は、こういった「遺伝子保持=疾患」が決まるような結果の開示は、医師からしか伝えられないと法律で定められているのです。なので、「HealthData Lab」を含めたすべてのゲノム解析で、これらの情報は、たとえわかったとしてもオープンにはしていません。

では現在、解析結果としてお返ししている病気のリスクはなんなのかというと、遺伝子寄与率が高くても、自分の努力や生活習慣の改善で予防したり治したりすることができるもの。例えば、糖尿病や痛風などです。ならば、遺伝子検査で知り得た情報を活かして、健康維持に役立てていくほうがよっぽどいいと思いませんか? 検査を怖がったり、結果を見て愕然としたりする必要はないんです。

ただ、前にもお話ししたように、遺伝子というのはまだ医学的には発展途上の段階で、医師の間でも正しく把握されてはいません。また、遺伝子は特殊情報で、親や兄弟にも関連があるので、場合によっては差別につながる可能性があります。現状は、遺伝子情報を基にした差別に関する法律も完全には整備されておらず、社会システムとしても確立されていないので、安易に他人に伝えることは避けたほうがいいですね。

――ちょっとSFっぽい発想かもしれませんが、ゲノムからクローン人間をつくることってできるのですか? もしもゲノム情報が流出したら…と考えると怖いです。

個人のゲノム情報が流出したとしても、クローン人間をつくることはできません。完全なクローンを作るためには、ゲノムに加え、細胞内のほかの情報も必要なので。

一方で、植物の遺伝子組み換えのように、ヒトゲノムの配列を操作することは、技術的には可能になりつつあります。今後、重篤な疾患の治療に活用することは議論されると思いますが、例えば、子どもの顔や能力の遺伝子を操作するというようなことは、倫理的な問題が大きい。そのあたりの法整備が必要ですね。

――遺伝子検査の結果とは、どう向き合えばいいでしょうか?

遺伝子情報は基盤情報。遺伝子で健康状態が100%決まるわけではありません。あくまで目安であり、たとえ痛風のリスクが低いからといって、どれだけお酒を飲んでも痛風にならないというわけではないのです。

実はそのいい例、というか悪い例が僕なんです。もちろん僕も遺伝子検査を受けているのですが、痛風リスクが低いというデータが出ていたにも関わらず、残念ながら去年、痛風になってしまいました。アルコール分解酵素が弱い体質なので、その影響が出てしまったのかもしれません。とはいえ、そもそも飲みすぎ食べ過ぎってことなんですけれどもね。

同じものを食べても、人によってリスクは違います。それが、遺伝子検査でわかるのです。自分の体質に合わせて、健康リスクへの的確な対処につなげられるといいですね。

遺伝子検査と人間ドック、両者の関係性とその未来

――瀬々さんは、遺伝子検査の未来をどんな風に想像していますか?

今後は、研究の進展により、解析できる内容が増え、精度が上がっていきます。すでに現状の数倍の内容を解析できるようになっています。それにともない、検査できる項目自体もここ数年以内にぐっと増えるでしょう。

その過程で重要になってくるのが、遺伝子情報に附随した生活習慣や健康状態のデータです。遺伝子情報は変わりませんが、生活習慣や環境によって健康状態は変化していきます。それを継続的に集めていくことで初めて、遺伝子検査が、本当に活用できる意味のあるものになっていくのです。

日本で言うとおよそ100万人、人口の1%くらいの数の遺伝子データと、それに付随する長期的な追跡データが集まると、いろいろなことがわかってきます

そういった意味でも、本来は、遺伝子検査と人間ドックの結果が紐づけされることが理想です。基盤となる遺伝子情報と、今現在の健康状態を組み合わせ、日々の生活習慣へのレコメンデーションにつなげられるとおもしろいですね。例えば、今日は肉をたくさん食べたので明日は野菜中心の食事にしましょうとか、今日はお酒を飲みすぎたので明日は控えましょうといった具合に。でもそれは、決して強制的なものではなく、リスクをカバーしながら生活の質を高め、やりたいことをフォローし、サポートしてくれるようなもの。そんなシステムができるといいなと思います。

人ひとりの遺伝子情報は、750メガ=CDロム1枚分くらい、文字に起こすと30億文字くらいになると言われているんです。それが、人間の身体を形作っている何十兆かの細胞すべてにコピーされていて、どこからでも同じ情報が取り出せるのです。なんだか壮大なロマンを感じませんか。

私は研究者として、遺伝子を活用できる未来をつくっていきたい。それにはまず、情報収集が必要です。検査を受けることは、世の中に貢献することになります。ぜひ多くの方に協力していただけたらと思います。

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Colorda編集部