2015.8.27

じつは「水虫」で困っている女性は多い!?

水虫の原因は湿気だけではなく、多様化している

水虫水虫にかかるのは男性のイメージが強いが、女性でも水虫に悩む人が増えている。感染の原因は、仕事で一日中靴を履きっぱなし、通っているスポーツクラブでうつってしまったなどさまざま。ファッションで、真夏以外はブーツを履く機会が増えていることも、女性の水虫人口を増加させている。もともと高温多湿が避けられない日本。こうしたライフスタイルや時流が重なって、水虫になりやすい要因が季節を問わず増えている。

感染源や種類は、どんなものがある?

水虫は、カビの一種である「白癬(はくせん)菌」が皮膚の角質層に寄生することによって起こる皮膚の病気。白癬菌は、ヒトの髪や爪、角質に含まれるケラチンというたんぱく質を好んで栄養源とする。そのため、湿気を帯びた靴や不衛生な靴下、水虫の人が使ったスリッパやマットからかかることが多い。温泉やプール、ジムなど水気の多い場所、飲食店の畳や履物なども感染源となる。ほかにも、犬や猫などから感染した事例もあるので、一度、ペットが白癬菌をもっていないかチェックしておくと安心だ。

水虫の種類はさまざまあるが、いちばん多いのが「趾間(しかん)型」と呼ばれるもの。足の指と指の間(特に中指と薬指の間)が腫れて白くふやけ、ただれやかゆみが生じる。ほかに、土踏まずや指の付け根などに赤い小さな水疱ができて、強いかゆみを伴う「小水疱型」などがある。判断しづらいものに、足裏やかかとの角質層が厚くなり硬化する「角質増殖型」や、爪が厚くなり色が白濁し、もろくなる「爪水虫」がある。「角質増殖型」「爪水虫」は、かゆみがないため、水虫とは思わずに角質を削ったりネイルケアをしたりして、さらに感染、悪化させることがあるので気をつけよう。

水虫の症状の90%は足にでるが、それ以外には、頭皮、顔、手、体部、陰部から大腿内側などにあらわれる。初期症状はただの赤みでも、かゆみがおさまらなければ、すぐに医師や薬剤師に相談しよう。

24時間以内に洗えば、白癬菌は死滅する

白癬菌は、皮膚に付着した後、皮膚表面の角質層に侵入しようとする。侵入には24時間ほどかかると言われているため、水虫を予防するには、一日の最後に足を洗い、足の指と指の間をきっちり洗浄して乾燥させることがポイントだ。また、靴は毎日同じものを履かず、陰干しをすると効果的。一日の中で靴を履き分けたり、靴下を取り換えたりするのもよい。

白癬菌は、温度15度以上40度以下、湿度70%前後で活性化するので、春から注意が必要となる。秋冬もブーツの着用や、カイロを貼る習慣のある人は蒸れないように徹底しよう。さらに、掃除はもちろん、家族に水虫の人がいる場合は、スリッパやバスマットは別々にするのがベストだ。

水虫にかかると、塗り薬での治療は完治まで最低でも2、3か月は要する。まずは温度と湿度に配慮して、衛生的な生活習慣を身につけたい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部