子宮頸がん検査と子宮体がん検査、卵巣がん検査の違いは?
子宮頸がん検査と子宮体がん検査では、がんのできる場所およびがんのでき方が異なるため検査方法が異なります。
子宮頸がんの検査
子宮頸がんとは、子宮の入り口である子宮頸部の上皮に発生するがんです。
そのため、子宮頸がんの検査は、子宮頸部の表面から綿棒などで細胞をこすりとって顕微鏡で調べます。子宮頸がんは、20歳から29歳で急激に増加することがわかっています。このことから、若い世代でも積極的に検査をすることが推奨されるのです。
子宮体がんの検査
一方、子宮体がんは子宮の奥にあたる体部のうちの内膜に発生するがんです。
50歳~60歳代といった閉経した世代に多いのが特徴です。
子宮体がんの発生する子宮内膜は月経の度に剥がれ落ちるため、閉経前の発症は多くないとされています。子宮体がんの検査は細胞診や組織診といい、子宮口から細い器具を挿入して子宮内膜の細胞や組織を採取して調べる検査が一般的です。しかし、高齢の女性や出産未経験の女性では、子宮口が狭い、あるいは閉じていて採取器具が挿入できない場合があります。そういった場合には子宮口をひろげる処置をする、麻酔をかけて検査をする、ということもあります。
また、一般に「子宮がん検診」という場合は、子宮頸がん検診のことを指しており、子宮体がん検診は含まれないことが多いです。
卵巣がんの検査
卵巣がん検診を単独で取り入れている医療施設は多くありません。そこで、子宮がん検診の際に内診と経腟エコー検査(経腟超音波検査)を組み合わせることをおすすめします。これらの検査で、子宮と同時に卵巣の様子を観察することができます。卵巣がんあるいは卵巣腫瘍(良性を含む)の場合、卵巣が肥大することが多いため、観察によって異常に気づきやすくなります。
卵巣がんは、罹患する可能性が低いと言われているがんです。半数が良性の腫瘍からがんに変わっていくタイプのものです。ただし、なかには突如として卵巣にがんが発生し、卵巣がんが小さいまま骨盤や腹腔内に急速に拡がるものがあり、検診で卵巣がんを早期発見することは困難であるとされています。
また、遺伝因子を持つ卵巣がんがあるため、家族や親族などに卵巣がんの人がいる場合や、乳がん、子宮体がん、大腸がんなどの婦人科系のがんにかかった人が数人いる場合には、定期的に経腟エコー検査(経腟超音波検査)や血中腫瘍マーカーの測定を受けることが推奨されます。
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この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)