2016.2.18
脳ドック

脳ドックでアイシャドウが敬遠される理由

化粧品でアレルギーが起こる理由

Closeup of an eyeアイシャドウやマスカラなどの化粧品は、アレルギー反応を起こすことがある。原因は、製品に含まれる強酸や強アルカリといった刺激成分であるが、金属アレルギーを起こしていることも珍しくはない。なぜならこれらの製品には、わずかではあるが金属が含まれているからだ。

アイシャドウのラメがわかりやすい例で、光を反射して光沢を帯びている部分が金属である。ここには酸化チタンやコバルト、ニッケル、クロムといった金属が混入している。それだけに、金属に対して過敏な反応を示す体質では、アイシャドウというごく限られた金属との接触でも、皮膚に金属アレルギーを起こしてしまうのだ。

化粧品に含まれた金属がMRI検査で邪魔となる

MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)には、人工内耳や心臓ペースメーカーなど、さまざまな禁忌が存在している。そのほとんどは金属製品絡みであり、MRI検査を実施するうえで、最も邪魔になるものが金属であるといってもよい。そこで気になるのが、化粧品に含まれている金属だ。

臨床の現場では、アイシャドウやマスカラなどのメイクを事前に落としてくるよう勧めることが多い。これは、アイシャドウに含まれる微量の金属によって火傷の恐れや磁場への影響があるからであり、十分な配慮が必要なのだ。検査部位が離れている場合は、軽いメイクであれば許可する病院もあるので、検査前に一度確認してみよう。

電気を通し火傷を引き起こす化粧品

化粧品に含まれるコバルトやニッケルは、強磁性体と呼ばれる金属で、MRIが発する磁場に強く反応する。また、電気を通す性質も高いため、おのずと熱も生じてくるのだ。

皮膚が薄くデリケートなまぶたに、局所的ではあるが高熱の金属が付着していたらどうなるだろうか。肌質や通電量にもよるが、皮膚が熱傷を負う可能性は十分にある。また、そのほかの金属製品と同様、MRIの画像にアーチファクトと呼ばれるノイズが生じるおそれもある。

自身の体を守るためにも、正確な検査結果を得るためにもMRIでは、極力メイクはせずに検査に臨みたい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部