2017.1.12
人間ドック前日の運動

人間ドックの前日、運動してもいいのか?【人間ドック前日シリーズ Vol.4】

人間ドック前日のさまざまな制約

S_shutterstock_552733531
人間ドックは、食事や飲酒、運動、入浴などさまざまな項目に関して、前日から制限が必要になるケースがある。「人間ドック前日シリーズ」第4回は、人間ドック前日の運動について解説する。

人間ドックを受診する際には、前日から当日の朝にかけての食事制限が最たるものであるが、実は運動に関しても配慮しなければならない点がある。そもそも人間ドック前日に運動してよいのか? 制約がかかる場合はどの程度の運動なら問題ないのか? 運動に関する注意点を紹介しよう。

運動が影響する検査結果とは?

人間ドック前日に運動をすると、尿検査に異常が現れることがある。具体的には、蛋白尿が生じて腎機能の異常が疑われてしまう。これは運動をすることによる腎機能の低下が原因だ。

運動をすると、全身を巡っている血液が筋肉へと集中するため、腎臓へ流れる血液量は相対的に減少する。それに加えて、運動による脱水が血液を含めた全身の水分量を減少させるため、腎臓への血液供給はさらに減ることになる。その結果、腎臓は血液を無理にろ過しようとして、蛋白も尿中へと排出するようになるのだ。

そのほか、筋肉を酷使するような激しい運動は、筋肉の代謝と関係している「AST」の値を高めることがある。ASTは肝機能の異常を調べるうえで重要な指標となるため、人間ドック前日の激しい運動は、血液検査の結果を乱す要因になりえる。

軽い運動であれば問題はない

人間ドックの検査結果に影響を及ぼすような運動というのは、比較的激しい運動である。例えばサッカーやバスケットボールなどは、筋肉を酷使し、心肺機能にも大きな負荷がかかるため控えることが望ましい。

一方、ウォーキングやジョギング程度の軽い運動であれば、人間ドック前日に行ったとしても大きな問題にはならない。日頃から運動をしている人は、適度な有酸素運動で体調を整えたうえで、人間ドックに臨むのも選択肢のひとつだ。

安里 満信(あさと みつのぶ)
この記事の監修ドクター
あさと医院 院長
医学博士、日本救急医学会専門医

Colorda編集部