2016.12.12
人間ドック前日の飲酒

人間ドックの前日、お酒は飲んでいいのか? 飲んでしまったらどうすればいいのか? 【人間ドック前日シリーズ Vol.1】

人間ドックには備えが必要

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人間ドックは、食事や飲酒、運動、入浴などさまざまな項目に関して、前日から制限が必要になるケースがある。「人間ドック前日シリーズ」第1回は、人間ドック前日の飲酒について解説する。

さて、人間ドック前日は、なぜ飲酒をしてはいけないのだろうか? 何時までなら飲んでよいのか? また飲んでしまった場合にはどうしたらよいのだろうか?

人間ドック前日は何時まで飲酒可能か?

人間ドック前日に飲酒しても、検査時間にアルコールが完全に分解されていて、検査結果に影響がなければ、量や時間に制限なく飲んでもよいとも言えるが、自身の分解能力を正確に把握できる人はいないため、一般的に前日は禁酒、または21時までなど時間が決められている。

アルコールは経口摂取後、血液に乗って全身を循環し、その際、肝臓による代謝を受け、徐々に分解されていく。その時間は個人によってさまざまで、数時間で血中濃度が元に戻る人もいれば、半日近くかかる人もいる。飲酒後、血中アルコール濃度が6時間で正常値へと戻る人であれば、単純計算で、前日の24時まで飲酒をしていても人間ドックには悪影響が現れないことになる。しかし、肝機能というのはその日の体調にも左右されたり、肝臓の検査結果に乱れが生じ、肝機能を正確に診断できなかったりするため、人間ドック前日は終日飲酒を控えることが望ましい。

なぜ、人間ドック前日に飲酒をしてはいけないのか?

人間ドック前日に飲酒をすると、血液中のアルコール濃度が上昇したまま検査を受けることになる。これは、血液検査の結果に乱れが生じることを意味する。具体的には、血中アルコール濃度が上昇することでγ-GTP、GOT、GPTといった肝臓で産生される酵素の値が高まる。これらは肝機能を診る上で重要な指標となる検査項目であるため、アルコールによって乱れてしまうと、肝機能を正確に調べることができなくなる。これが人間ドック前日に飲酒をしてはいけないおもな理由である。

人間ドック前日に飲酒をしてしまった場合の対処法

人間ドックを翌日に控えていても、さまざまな理由で飲酒をしてしまうケースも十分にあり得る。そうしたケースでは、人間ドックにおける血液検査の値は参考にならないと考えたほうが賢明である。検査前日に飲酒をすることによって、上述したような酵素の値などが乱れることはほぼ間違いない。ただ、その他の検査に関しては飲酒の影響がそれほど大きいものではないので、例え前日に飲酒をしてしまった場合でも、人間ドックは予定通り受けることが望ましいといえる。もちろん、前日に飲酒をしたことは医師や看護師に伝えることは絶対である。

坂口 海雲(さかぐち みくも)
この記事の監修ドクター
福島吉野スマイル内科・循環器内科 院長
日本内科学会認定内科医/日本医師会認定産業医/日本循環器内科学会所属医

Colorda編集部