2016.5.19

第6回 人生にハピネスをもたらすための極意/島脇伴行さん(パーソナルトレーナー)

BODY DIRECTOR代表 パーソナルトレーナー 島脇伴行さん

BODY DIRECTOR代表 パーソナルトレーナー 島脇伴行さん

BODY DIRECTOR代表 パーソナルトレーナー
島脇伴行さん

しまわき・ともゆき●日本で初となる完全個室パーソナルトレーニングジム『BODY DIRECTOR(ボディディレクター)』を開業。現在、表参道と銀座の2店舗を運営している。また、全国コンサートツアー専属トレーナーとして広瀬香美さんやGLAYのコンディションサポートやメディア出演、監修などで活躍中。代表著書に『はじめての体幹&骨盤ダイエット』(ブルーロータスパブリッシング)がある。

たどり着いたのは、”見えない部分”を正しく評価するアセスメント

――島脇さんが、パーソナルトレーナーとして最も大切にしていることは何ですか?

BODY DIRECTOR代表 パーソナルトレーナー 島脇伴行さん“アセスメント(=評価)”です。表面的な部分と内面的な部分の、双方からの評価が必要になります。初めにその人の身体の状態を正しく評価できないと、戦略やトレーニングメニューの方向性を誤ることになり、結果に結びつきません。アセスメントこそ、ハイパフォーマンスを生み出す秘訣です。

 

――具体的にはどういうことでしょうか。また、その考えに辿り着いた経緯は?

私は、ジムのトレーナーを経て、2000年の1月に独立しました。その頃はまだ、パーソナルトレーナーという仕事は、世間的にはメジャーではありませんでしたが、ひとりひとり違う「こうなりたい」という思いを確実に叶えていくためには、マンツーマンで向き合う必要があると思ったのです。

アセスメントは、当初から大切にはしていましたが、最初は、筋力や関節可動域といった、見えるところの評価が中心でした。そして、筋力アップに主眼をおく“レジスタンストレーニング”を行っていました。しかし、それだけでは十分な成果が得られず、お客様の要望に応えきれないケースが度々あったのです。

そして、現場で起きていることを突き詰めていった結果、その人の気持ち、日々の生活、仕事、食事などを含めた、トータルケアの重要性に気づきました。見えないストレスや緊張が潜んでいないか? 日々の生活スタイルや食事はどうか? そういったことまで正しく評価できないと、良いメニューは組めず、結果にもつながらないのです。

たとえば、ダイエットをしたいという要望は、あくまでひとつの結果。みなさんの本当の目的は、自分に自信を持ちたい、健康になりたい、人生を楽しみたいといった、見た目の変化の先にある幸せ体験を得ること。運動を手段にハピネスを提供するためには、トレーナーは相手と深いコミュニケーションをとることが大切なのです。

――島脇さんは、様々なアーティストのサポートもされているそうですね。

BODY DIRECTOR代表 パーソナルトレーナー 島脇伴行さん10年くらい前に、歌手の広瀬香美さんのサポートを始めたことがそもそものきっかけです。ちょうどその頃、海外のアーティストたちが、日々のコンディショニングサポートのためにパーソナルトレーナーを付けているという話を聞き、わたしもそういった仕事に興味を持っていたところでした。そんな矢先に縁あって彼女と出会い、意気投合して専属トレーナーに。特別なマニュアルがないなか、コンサートにも同行したりして、二人三脚で、彼女が本番で最高のパフォーマンスを発揮するためのコンディショニング方法を探りました。発声など特別なトレーニングはあれど、やはりここでも、その人の気持ち、日々の生活、仕事、食事などを含めた、トータルケアが重要なことには変わりありませんでした。

彼女との出会いで、パーソナルトレーナーのなかでも、ただ肉体改造をサポートするのではなく、その人の体調やメンタルを支える“コンディショニングトレーナー”という立ち位置を確立できたと思います。

――島脇さんの今の仕事のスタイルや考え方は、まさに現場で築かれたものなのですね。

はい。トレーニングの現場で徹底的に人と向き合い、なぜ?と疑問に思ったことや、現場で必要なこと、自分に足りないことを常に勉強し、その積み重ねが今の独自のスタイルに繋がったのだと思います。日頃の生活のなかでも、自分自身が体感したり気づいたりした心身の変化と向き合い、なぜ?なぜ?なぜ?を繰り返して答えを探し出しています。

BODY DIRECTOR代表 パーソナルトレーナー 島脇伴行さんそしてそれらは、“極意ノート”と名付けたノートに記録しています。実践で起きた現象・感じた発想や感覚をメモし、後からヒモ付けし、理論をつくっていきました。今振り返ると、このノートの存在がどこかで自分の自信になっていると思います。そういえば私は、食事に行ったお店を食べログにつけたり、今後やりたいこと、行きたいところをメモしておいたりと、何でも記録する習慣がついていますね。

運動がストレスも体調不良もすべてを吹き飛ばす

――忙しい日々、ご自身の体調管理はどのようにされているのですか?

BODY DIRECTOR代表 パーソナルトレーナー 島脇伴行さん日々運動をしています。最近はランニングが楽しく、1ヶ月で200kmを目標に、週5で走っています。今までの人生で一番走っていますね。すでに今年、ウルトラマラソン3~4本を申込み済み。来年はサハラマラソンや宮古島マラソンにも出ようかと思っています。
 
ストレスがたまったときも、やっぱり運動です。運動はストレスを緩和することができる。これは医学的にもわかっていることです。私はよく、一人で山に行きます。登り始めは辛いのですが、自然の中に入って30~40分ほどすると、不思議と心地よい気分に。山では、陸上とは違う反応が出るのも面白いところです。あとは、マッサージに行ったり、スーパー銭湯に行ったりもしますね。

それともうひとつ、最近体感して気づいたのが、人に興味を持ち、自分から積極的に人にコミュニケーションを働きかけると、心はもちろん、身体まで軽くなり、パフォーマンスがよくなるということです。人を好きになるというポジティブな気持ちや姿勢って、大切なことなんですね。

――わたしたちが日々の生活のなかで、健康維持やメンタルの調整のためにできることは何でしょうか。

まずは2週間、健康管理を続けてみてください。一番はやはり、身体を動かすこと。2週間続ければ、生理的変化をはじめなんらかの変化が現れるので、自分に興味がわいてくると思います。我々のジムに来てくださっている方々を見ていても、見た目や体調の変化があると楽しくなり、服を変えたり化粧を変えたり、生活面も楽しんでいます。

つぎに食事ですが、ポイントは考えて食べることですね。空腹を満たすために食べるのではなく、理由づけをして食べる。たとえば、昨日は食べ過ぎたから今日は減らすとか、最近飲みすぎだから休肝日をつくるとか。これも2週間で変化を感じられると思います。

自分を見つめ、考えることは、メンタル面にも変化をもたらすきっかけになるのではないでしょうか。とはいえ、ストイックになりすぎるのは禁物。わたしも、お酒を飲むときは飲みますし、食べるときは食べます。前後で調整すればいいんです。何事もほどほどが効果を出す秘訣です。


Colorda編集部