2017.3.6

調味料は身体に害? 食品添加物の真実

調味料の目的と役割

「調味料」とは、料理の味付けに使用する材料のこと。調味料と呼ばれるものにはふたつあり、醤油、味噌、塩などの食品と、化学合成によってつくられる食品添加物とがある。ここで取り上げるのは、食品添加物としての「調味料」だ。

「調味料」とは、昆布やかつおぶしなどのうま味成分を化学合成により抽出または生成したもので、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩の4つのグループに大別される。とくに塩味とうま味を出す目的で使われ、味にコクや深みを生む役割を果たしている。食品パッケージの表示はまとめて「調味料」とされ、そのあとにカッコ書きで各グループ名が記載される。2種類以上使用されている場合は、使用目的や使用量により、代表的なものに「等」をつけて「調味料(アミノ酸等)」と記載する決まりがある。

普段使っている醤油、味噌、塩なども「調味料」と呼ばれるが、これらは食品であり、先述の化学合成によりできているものは食品添加物である。

調味料の4つのグループを紹介

食品添加物である調味料は、次の4グループに分類される。指定添加物リストと、既存添加物名簿収載品目リストの用途欄に「調味料」と記載されているものが該当する。

1.アミノ酸

L-グルタミン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、DL-アラニン、L-イソロイシンなど。
代表格であるL-グルタミン酸ナトリウムは、昆布のうま味成分としてよく使われている。水に溶けやすく、ほかの調味料や素材に含まれるうま味成分との相乗効果が期待できる。表示の際は、「調味料(アミノ酸)」と記載される。

2.核酸

5′-イノシン酸二ナトリウム、5′-ウリジル酸二ナトリウムなど。
代表格である5′-イノシン酸二ナトリウムは、肉、魚、にぼし、かつお節などに含まれるうま味成分である。食品添加物としては糖質を発酵してつくられる。表示の際は、「調味料(核酸)」と記載される。

3.有機酸

コハク酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸カリウムなど。
代表格であるコハク酸ナトリウムは、貝類に含まれるうま味成分であり、シーフード風味のインスタントラーメンのほか、魚肉製品や水産物の佃煮などに使用される。表示の際は、「調味料(有機酸)」と記載される。

4.無機塩

塩化カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウムなど。
代表格である塩化カリウムは食塩のかわりとして使用されている。表示の際は、「調味料(無機塩)」と記載される。

「中華料理店症候群」って何? 調味料の安全性はいかに?

うま味調味料ともいわれるアミノ酸系のグルタミン酸ナトリウムは、業務用、家庭用合わせて、年間消費量は約9万トンと推定されている。

1968年、アメリカの科学者が中華料理店での食事後、頭痛、首筋から肩にかけて強いほてりなどの症状があったとし、原因は料理に使われていたグルタミン酸ナトリウムによるものだと医学雑誌に発表。「中華料理店症候群」といわれ、身体によくないものとして扱われてきたという経緯がある。しかし、さまざまな臨床試験と疫学調査により、因果関係がないことが証明され、現在、国連の食品添加物専門家委員会も安全性を認めている。そのほかに使用度が高い核酸系のイノシン酸も、乳幼児も代謝可能な安全性の高い添加物だとされている。

グルタミン酸ナトリウムは食塩の1/20程度のナトリウム量となり、減塩調理でもコクやうま味がでるという。昆布やかつお節などからとれる自然のだしと調味料のうまみ味をうまく使い分けていく必要があるだろう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部