2015.8.10

検査でなければ判明しない、骨粗鬆症の進行

骨粗鬆症のリスクと現状

骨粗鬆症骨はほかの組織と同様に新陳代謝を繰り返している。その代謝のバランスが崩れて骨量が減少する症状が骨粗鬆症である。自覚症状のないままに骨の空洞化が進行し、何気ない日常の動作で骨折してしまう。すでに脆弱化している骨は再生が困難なので、そのまま要介護状態に陥ってしまうケースも少なくない恐ろしい病気だ。

現在の日本における骨粗鬆症の患者数は1000万人を超えている。そのうち約80%が女性。とくに中高年以降の女性に多く、50歳以上の女性の4人に1人が骨粗鬆症になっている。加齢にともなう女性ホルモンの欠乏が原因である。

骨粗鬆症の判断基準は骨密度

骨粗鬆症の進行具合は骨密度検査で診断される。日本骨代謝学会の基準では、20~44歳の成人の平均骨密度を100%として、測定された骨密度が80%以上であれば正常、70~80%の範囲を骨減少症、70%未満が骨粗鬆症と定義している。

人間ドックで行なわれる骨密度の検査

一般的な人間ドックで行われる超音波法は、骨に超音波を当ててその伝搬速度を測定することにより、骨の固さ(弾性)から骨密度を測定する方法である。専用の測定装置に足を入れてかかとの骨で測定するのが一般的で、短時間で測定が終了する簡便法である。

超音波法によるスクリーニング検査でさらに精密な検査が必要と判断された場合には、 二重X線吸収(DXA)法や定量的CT測定(QCT)法が行われる。DXA法は2種類のエネルギーの異なるX線の吸収から骨密度を調べる方法で、全身の骨の状態を調べることができる。QCT法は、CTを用いて局所的な骨の二次元分布を調べるのに用いられる。

日常生活に支障をきたすような状況を未然に防ぐためには、早期に医療機関の検査を受けて現在の骨の状態を把握して症状の進行状況に応じた生活指導や適切な治療を受けることが重要である。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部