2017.4.10

化粧品添加物「酸化防止剤」の危険性・安全性とは?

化粧品の劣化や悪臭を防ぐ、酸化防止剤

酸化防止剤は、化粧品が空気中の酸素と結びついて酸化することを防ぐために使われる。化粧品の成分には、油分、水分、界面活性剤、香料、ビタミンCなど酸化しやすい物質が含まれ、酸化すると製品の劣化や悪臭に、また、肌への刺激になってしまう。金属が酸素と結合してサビが生まれるのと同じ原理だ。

とくに油は、種類によって速度は違うものの、すべてが酸化する性質を持っている。さらに皮膚自体にも油分はあり、紫外線や活性酸素などによって酸化し、毛穴の黒ずみやニキビ、炎症などの原因になる。こういった肌への影響を抑制するために、酸化防止剤が使用されるのだ。

代表的な酸化防止剤4つ

ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)

水に溶けず、耐熱性に優れ、古くから食用油脂の酸化防止にも使われている。比較的安価なので、多くの化粧品に添加物として利用されている。化粧品の総量に対して0.01〜0.05%程度の配合が一般的。

ブチルヒドロキシアニソール(BHA)

BHTと一緒に使用すると効果的な酸化防止剤。石油や動物性油脂の酸化を防ぐ作用が高く、BHTと同様、古くから使用されている。紫外線で変色し、皮膚への刺激やアレルギー反応を起こすことがあると言われている。

没食子酸プロピル

バターなどの油脂類に用いられている酸化防止剤。酸化防止力は強いが、変色しやすい。アレルギー性皮膚炎を起こす可能性があると言われている。

トコフェロール

ビタミンEのことで脂溶性ビタミンの一種。水に溶けず、アルコールやオイルに溶ける性質をもつ。αトコフェロール、βトコフェロール、γ(ガンマ)トコフェロール、δ(デルタ)トコフェロールの4種類があり、医薬品や食品添加物の酸化防止剤として広く使用されている。血管拡張作用や血行促進作用を期待して、発毛育進剤や医薬品・化粧品として使用されている。

酸化防止剤は安全か?

酸化防止剤には、合成成分と天然成分がある。天然成分、またはそれに近く、安全が証明されている成分を使用している化粧品を選ぶことをおすすめする。たとえば、前述したトコフェロール(ビタミンE)や、ほかにはアスコルビン酸(ビタミンC)、クロロゲン酸、カテキンなどが挙げられる。

化粧品に使われる酸化防止剤は、製品や肌が酸化して起きるトラブルを回避するためのもの。しかし、場合によっては皮膚炎やアレルギー反応を起こすこともある。化粧品を選ぶ際は、なるべく天然成分の添加物を使用している製品をチョイスし、また普段の食事でも酸化防止を意識してみるとよいだろう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部