「いつまでも若々しく、健康でありたい」という願いを叶えるメソッドが、最先端の研究により明らかになってきている。
今回は、健康でいるための飲み物の選択について、世界中の研究者の研究結果を幅広く紹介。多様な理論のなかから自分に合う方法を見つけ、ぜひ実践してほしい。

2017.2.2

「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」にだまされない

人工甘味料にも肥満や糖尿病リスクあり

S_shutterstock_129806879
「ゼロカロリー」や「糖質ゼロ」を売りにしている飲料やお菓子が出回っている。いずれも飲んだり食べたりすると甘いのに、「カロリーがゼロなので太らない」を売りにしている。

しかし、この糖質オフ商品には大きな落とし穴がある。糖質の代わりに添加されている人工甘味料に実は肥満や糖尿病のリスクがあるからだ。もともとブドウ糖などの糖質は太るホルモンであるインスリンを刺激するので、糖質を含まない「サッカリン」や「アスパルテーム」などの人工甘味料はインスリンを刺激しないという理屈であった。

しかし、英国ケンブリッジ大学の今村博士らの研究グループは、人工甘味料やフルーツジュースは加糖飲料の代替にはならないと警鐘を鳴らす。

人工甘味料入り飲料で糖尿病発症リスクが25%増加

研究チームはこれまでに報告された加糖飲料、人工甘味料入り飲料、フルーツジュースの摂取と2型糖尿病の発症に関連する17件の観察研究の結果を包括的にレビューして人工甘味料やフルーツジュースが加糖飲料の代替になるか検討を加えた。研究チームは研究結果に偏りが出ないようにするために、企業から資金提供された研究を含めずに解析を行った。

17件の研究で計38,253人を追跡調査した結果を、包括的にレビューして解析した結果、加糖飲料を定期的に飲んでいた人の2型糖尿病のリスクは飲料1本あたりで18%増加、肥満因子を調整したのちも13%増加することがわかった。

一方で、人工甘味料入り飲料を定期的に摂取している群では、2型糖尿病の発症危険度が飲料1本あたりで25%増加、肥満因子を調整したのちも8%増加することがわかった。さらにフルーツジュースを定期的に摂取している群では、2型糖尿病の発症危険度が飲料1本あたりで5%増加、肥満因子を調整したあとでは7%増加することがわかった。

研究チームは2型糖尿病を減らすには加糖飲料を減らすことが重要であることを再確認したが、人工甘味料入り飲料やフルーツジュースでの代替は有益でないだろうと結論づけた。

加糖飲料の消費量と糖尿病発症リスクの関係

研究チームはさらに、米国における加糖飲料の消費量が若者世代に顕著に見られることに注目した。

米国の20~44歳の世代では平均約400mlの加糖飲料を消費、45~64歳では平均約200ml、65歳以上では平均約100mlの加糖飲料を消費、全年齢平均では約290mlの加糖飲料を消費していた。この消費量から今後10年間における全米で発症する糖尿病における加糖飲料の寄与率は11.0%で約180万人の糖尿病の発症につながるだろうと推算した。

一方、加糖飲料消費量が平均110mlの英国では今後10年間で約8万人が加糖飲料のために糖尿病を発症すると推算した。

日本本来のお茶文化で健康に

日本では、街頭のあちこちに自動販売機がありさまざまな飲料が選択できる。自動販売機には糖質オフやカロリーゼロなどの飲料が登場したので、糖尿病や肥満が気になる人は加糖飲料をやめて、糖質オフを選択している人も増えたと思う。一方で、最近の日本の自動販売機ではお茶や水のラインナップも増えたように思う。

日本人は元来、食卓では日本茶を飲む習慣があり、日本茶には砂糖を入れる習慣はない。欧米のコーヒーや紅茶に砂糖を入れる習慣とは異なる。元来、日本人は甘い飲み物よりも、どちらかというと日本茶のような苦味のある飲み物が好みなのだろう。日本本来のお茶を飲む食文化に戻れば、日本での2型糖尿病の発症増加に歯止めをかけられるかもしれない。


白澤卓二氏の新着記事

,

Colorda編集部