2017.2.13

甘味料は身体に害? 食品添加物の真実

甘味料の目的と役割

S_shutterstock_296066060「甘味料」とは、食品に甘味をつけるために使用する調味料であり、大きくは「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」のふたつに分けられる。さらに糖質系甘味料は「砂糖」「でんぷん由来の糖」「その他の糖」「糖アルコール」の4つに、非糖質系甘味料は「天然甘味料」と「人工甘味料」のふたつに分けられる。

糖質系甘味料とは?

糖質系甘味料の砂糖とは、サトウキビから作られた一般家庭にもある糖だ。でんぷん由来の糖は「ブドウ糖」や「果糖」、その他の糖は「乳糖」や「オリゴ糖」などがある。また糖アルコールの代表格は「キシリトール」や「ソルビトール」だが、これらは人工的に作られた糖である。

非糖質系甘味料とは?

非糖質系甘味料である天然甘味料は、植物や果物に含まれる甘み成分を抽出したものだ。「ステビア」や「天草」などがある。一方、人工甘味料は化学合成で作られる。「アスパルテーム」「スクラロース」などが代表的で、甘みが強いがカロリーが低いなどの特徴があり、これらは食品衛生法に基づいて指定された食品添加物に該当する。

砂糖は酵母の栄養源になり、食品に菌が繁殖しやすいことから、酵母の増殖を抑えて品質を維持し、保存性を高めるために砂糖以外の甘味料を使用している場合が多い。また、虫歯、糖尿病、肥満予防のために、砂糖以外の甘味料を使うことが増えてきている。

食品によく使われている人工甘味料

食品によく使われている人工甘味料3つを紹介する。

アスパルテーム

2種類のアミノ酸を結合させて作られる。カロリーは砂糖と同じく1グラム当たり4キロカロリーだが、甘味度が200倍であることからダイエット食品に使用されることが多い。マウスを使った実験では、元気な精子が減少することが報告されている。

  • 使用食品:ダイエット食品、清涼飲料水、菓子など

アセスルファムカリウム

酢酸由来のジケテンを化学合成して作られる。甘味度が砂糖の200倍だが生体内では利用されないためカロリーはゼロ。ノンカロリー甘味料として使用され、カロリーゼロの炭酸飲料がおいしくなった立役者だ。熱や酸に対しての安全性が高いといわれている。

  • 使用食品:清涼飲料水、菓子、漬物、つくだ煮、砂糖代替食品など

サッカリン、サッカリンナトリウム

砂糖の500倍にもなる高い甘味度が特徴。 サッカリン自体はほとんど水に溶けないため、溶けやすくしたものがサッカリンナトリウムである。1973年に発がん性の可能性が指摘され一般食品への使用が禁止されたが、再び認可された経緯がある。

  • 使用対象食品:漬物、魚介加工品、しょう油、つくだ煮、煮豆、ビン詰、缶詰、粉末清涼飲料など

だが、2014年9月に、イギリスの科学誌である「ネイチャー」で、人口甘味料が糖尿病のリスクを高めている可能性があると報告された。今までの研究でも、人工甘味料と糖尿病や肥満との関連性の有無を調べられているが、人工甘味料が血糖値などに影響するとする結果と、影響しないとする結果の両方が報告されている。さらなる研究が必要だろう。

なじみのある甘味料「キシリトール」について

「キシリトール」は、虫歯予防をうたうガムなどに含まれ、一躍注目を集めた甘味料だ。白樺などの樹木から抽出した「キシラン」という成分を加水分解して抽出した「キシロース」に、水素を添加してつくられたものだ。世界的にも安全性の高さが認められている。

虫歯を予防し歯を丈夫にする働きを持ち、チューインガムや飴によく使われている。砂糖より甘くなく、水に溶ける際に吸熱反応を起こすことでひんやりとした清涼感が生まれるのも、ガムや飴に使用しやすい点である。虫歯菌の力を弱めることができるが、既定の量が配合されていないものは効力を発揮しない。きちんと規定量が含まれている商品かは「歯に信頼」という歯が傘をかぶったようなマークがあるかどうかで判断できる。マークのない商品は、キシリトール配合とうたっていても量が少なく、砂糖が含まれているものもあるので要注意だ。

また、「シュガーレス」や「ノンシュガー」と表示された食品にも注意したい。単糖類、多糖類の含有量が0.5%(100gまたは100mlに対し0.5g)未満の食品と飲料に、「シュガーレス」「ノンシュガー」という表示ができるが、砂糖が入っていなくても、代用されているほかの配合成分に虫歯の原因となるものが入っている可能性があるので気をつけよう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部