脳ドックとは…
CTやMRIを用いて、脳梗塞や脳出血、脳卒中といった脳血管疾患の危険性を判断する検査。
フリーランスライターであり、1児の母。食べることは好き。お酒も好き。運動は嫌いではないがあまりしていない。加齢は気になりだしたが、年相応の健康は自負。人間ドックは、多少関心を持ち始めていたところ。
人間ドック&脳ドックとの運命の出会い
これまで健康に対しそれほど大きな不安を抱いたことがない私。でも、さすがに年齢を重ねるにつれ、定期的な健康診断の必要性は感じていた。しかしフリーランスの身になってからは、自らアクションを起こさなければならないという億劫さに、辛うじて2年に1回、自治体が行うものを受ける程度。幸い、毎回結果も悪くはなかったので、それで満足していた。
だから正直、「人間ドック」は私にはもう少し先の話と思っていた。と同時に、それなりの費用をかけて受ける「人間ドック」と自治体が行う「健康診断」にどれだけの差があるのか、という疑問が湧きおこっていた。ましてや「脳ドック」に至っては、頭痛持ちでない私にとっては完全に意識の外だった。
そんな矢先に声をかけていただいたのが、今回の人間ドック&脳ドック体験取材。人前に顔をさらすことにやや抵抗は感じたものの、自分の頭の中を見られるという興味と、自らの疑問を解くとてもいい機会になるということで、ありがたくお受けすることにした。
初めての体験を前に、高まる期待!?
今回私が訪れることになったのは、東京都北区滝野川にある、診療と健康診断、どちらも受診できる医療施設だ。ここの「人間ドック・健診センター」には最新の高度な診断機器が数々導入されており、脳の検査に使用するMRIはなんと世界最上位機種。画像診断を得意とし、テレビや雑誌等、様々なメディアからも注目を集めているということで、期待が高まった。
私が受けるコースは「スタンダード人間ドック+脳ドック」。その名の通り、基本的な人間ドックのメニューに脳ドックが組み込まれたコースだ。
まず検査日の10日ほど前に、医療施設から封書が送られてきた。中には今回受ける検査に関する注意事項の資料等が入っていたのだが、とりわけ脳ドックに関しては前知識がまったくない状態だったので、へ~と思うことがたくさん。まず、MRI検査というのは放射線を使うのではなく、強い磁場で行うということ。故に、被ばくがないため身体への負担は少ない。ただ、手術等で体内に金属製のものを入れている人や、磁石式のインプラント治療を行っている人は検査ができない場合がある。また、一定時間狭い空間に留まっていなければならないので、閉所恐怖症の人は要注意。そして、アイメイク(アイシャドウやマスカラ等)は画像が乱れる場合があるので控え目に、という予想外の一文には、アイメイクなしでは取材写真に耐えられない!といらぬ心配を抱く私であった。
人間ドックのマメ知識
認知症がこわい…脳ドックで可能性はわかる?
病変の箇所がない限り、“いつか認知症になる可能性”は測れない。ただし、自覚症状がなくても、すでに病変があれば、「疑いあり」ということはわかる。
気持ちのよい施設と対応、検査をミスなくスムーズに行う工夫
そして迎えた検査日当日。前日の21時以降は飲食禁止ということで、空腹を感じつつも朝食は抜き、医療施設へ向かった。JR埼京線の板橋駅、都営三田線の西巣鴨駅、都電荒川線の庚申塚駅からそれぞれ5~7分とアクセスもよく、迷うことなく到着した。
1階で受付を済ませ、案内に従いいざ人間ドック・健診センターへ。まずは検査着への着替えを行った。
そのとき渡されたのが、名前が表示されたICタグ。それぞれの検査結果をその場ですぐにこのICタグに自動入力(転送)することで、手書きによる人的ミスを減らすと同時に、検査にかかる時間を短縮しているのだそうだ。
検査は問診からスタート。提出した問診票をもとに、気になる自覚症状や自分と家族の既往歴などを医師がチェックする。また、過去にここで人間ドックを経験している人は、そのデータのふり返りなども行うようだ。私は今回が初めてで、特に気になっていることもなかったので、さらりと終了した。
その後は、その日の状況に応じ、順不同で検査を実施。私の場合は、採血→頭部MRI→腹部超音波→聴覚→血圧→視力→身体計測→心電図→眼底→眼圧→肺機能→胸部レントゲンという順に行った。このほか、事前に自宅で採取した尿検査、便潜血検査もコースに含まれている。ちなみに、腹部超音波検査、肺機能検査、そして頭部MRIは、生まれて初めての経験だった。
ついにそのときが! 今回のメインイベント「脳ドック」体験
もっとも印象的だったのは、やはり頭部MRI検査だ。検査室の入り口には「強力磁場発生中」という警告ランプ、ドアの向こうにはテレビで見覚えのある丸い大きな穴の開いた機械。心臓が強いといわれる私の中にも少し緊張が走った。
検査にかかる時間は約20分。しかもその間、できるだけ動かずにじっとしていてほしいとのこと。その理由は、1回分の画像(20枚!)を得るために、2~3分かかるからなのだそう。まるで星の撮影みたいだ。さらに検査中は終始大きな音が発生するからとヘッドフォンを耳にかけられ、顔の上には野球のキャッチャー防具のようなものをセットし、最後に手に緊急用のコールを握らされ、私はついに丸い穴の中へ。真っ白の不思議な空間ではあったものの、さほど窮屈感もなく、「始めます」という合図とともに私は目を閉じた。
すると間もなく、事前にいわれていた音が聞こえてきた。ブー!キー!ガー!ジー!そんな、ブザー音のような機械音のようなものがさまざま。正直あまり気持ちのいい音ではない。しかも、ヘッドフォンをしているのにけっこうな音量。これは一体なんなんだ、この機械の中で何が行われているのだ、と思いめぐらせながら、じっと動かず耐えていた。しかし、20分というのはけっこう長い。まだかまだかと思っているうちになんだか喉に違和感を覚え、咳をしたくなってしまった。でも動いてはいけない。これは仕事でもある。動いて検査を台無しにしてはまずい。と1人パニくり始めているところへ「終わりました」の声が。この検査は、風邪をひいているときには受けないことをおすすめする。
人間ドックのマメ知識
MRI特有の音、なぜ音の種類が異なる?
音の違いは撮影方法の違い。同じ箇所を数種類の方法で撮影することで、病変を特定したり可能性を排除したりすることができる。
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