アスリートだからこそ知る
自己管理の大切さ

プロフィギュアスケーター・振付師
村主章枝さん

1980年生まれ。幼少期をアメリカで過ごした後、6歳でフィギュアスケートを始める。1997年に16歳で全日本選手権初優勝。その後も同大会では、3連覇を含む5度の優勝を勝ち取る。その他、四大陸フィギュアスケート選手権では3度の優勝、ソルトレイクシティ五輪5位、トリノ五輪4位という輝かしい戦績を持つ。2014年11月、ファンに惜しまれつつも現役を引退。現在は、プロフィギュアスケーターとして、さらには振付師やコーチとして、日本とカナダを拠点に活躍している。

15歳から毎年欠かさず行ってきた人間ドック。
その結果を、自らの健康管理の指標に

15歳から毎年欠かさず行ってきた人間ドック。その結果を、自らの健康管理の指標に

ご存知、日本を代表する元フィギュアスケート選手の村主章枝さん。現在はプロとして活躍するほか、日本とカナダを行き来しながら、振付師やコーチとしても忙しく活動されています。そんな彼女がこのたび人間ドックを受診したということで、お話をうかがいました。

「今回は、基本検査とレディースドックを受診してきました。昨年は、行政が行う健康診断を受けたのですが、それ以来、1年ぶりの検査でした」

――訪れた施設の印象や、検査の様子はいかがでしたか。

「初めての場所だったのですが、とてもきれいなところで驚きました。また、女性専用の施設ということで、先生もスタッフの方も全て女性。安心して検査を受けることができましたね。対応も丁寧でしたし、待ち時間もなくスムーズ。とても快適でしたよ。ただ、胃のバリウム検査が生まれて初めてだったので、それにはちょっと苦戦しました」

人間ドックは、15歳で強化選手に選ばれて以降、毎年必ず行ってきたという村主さん。そんな中、常に医師から指摘されてきた点があるといいます。

「昔から、コレステロール値が高いのです。さらに、常に寒いリンク上にいるせいか、新陳代謝が悪い。水分摂取量も足りないといわれていました」

一方で、家系の遺伝として気になっていることもあるそうです。

「以前、父親が心筋梗塞で倒れたことがあるのです。それ以来、家では家族全員、意識的に塩分を控えた食事をとるようになりました。でも遺伝もあると思うので、実家を出て一人暮らしをしている今は、自分でも気をつけるようにしています」

――そのようなことを踏まえ、気になる今回の検査結果はいかがでしたか。

「概ね問題はありませんでしたが、やっぱりコレステロール値が高かったのと、腎臓の働きにもチェックが入りました。お酒はそれほど飲んでいないのですが、甘いもの、中でもクッキーが大好きで、疲れたりストレスがたまったりすると、ついつい食べ過ぎてしまうんですよね。実は先日、針灸師の先生からも同様の指摘があったのですが、それが今回、ズバリ数値として現れたのでびっくり。やっぱり改めなきゃいけないなって思いました」

長きにわたる選手生活で学んだ健康管理や身体のメンテナンスの大切さ

引退後1年以上の月日が経過しましたが、村主さんは今も変わらず、身体のメンテナンスには人一倍気を使っています。そんな彼女でも、年齢とともに身体の変化は感じているといいます。

「実は引退の3年前くらいから体重調整に苦労し始め、疲労の回復力も落ちてきてしまい、ケガを避けるためにも、身体のメンテナンスにかける時間はどんどん増えていきました。さらに引退後は、やや無理をして調整に失敗し、コンディションを崩してしまうことも。やっぱり年齢によってケアの仕方は変わっていくものなのです」

一方、健康管理においては、現在日本とともに拠点としているカナダでの生活が、良い影響をもたらしているそうです。

「日本でも今は比較的規則正しい生活を送っていますが、どうしても忙しくなるので、カナダにいるときの方が体調や心のバランスを保ちやすいです。向こうでは、ほぼ毎日家とリンクを往復するのみ。食事は3食自炊で、基本的には和食をとっています。今、興味と実益を兼ねてサプリメントアドバイザーの資格取得のための勉強をしているので、自然とバランスを心がけるようになってきていますね」

こういった自己管理の経験は、指導者の立場になった今、とても役に立っていると村主さんはいいます。

「スケートは個人種目なので、より自己管理が大切です。そういう意識を子どもたちにも持ってもらえるよう、メンテナンスや健康管理の大切さについては、技術指導と同様に力を入れています。さらに、その源になるのが家庭での食事ということで、親御さんに対する説明も欠かせません。子どもには分かりやすくかみ砕いた言葉で、大人には納得いく言葉で伝えなければならないのが難しいところですが、私なりにコツコツ努力しています。」

さらに、こういった身体の管理は、アスリートに限った話ではないといいます。

「身体が資本であることは誰しも同じです。定期的に検査を受け、その時の自分に合ったケアや健康管理の仕方を見つけることが大切だと思います」

今後は、以前からの夢でもあった、振付師としての活動を主軸にしていきたいと語る村主さん。持ち前の明るさとアスリートとしての根性、そして定期的な人間ドックで、さらなる活躍を目指していくそうです。

message

定期的な受診で身体の変化を知ろう

身体は、誰しも年を重ねるごとに変化していきます。それを知る術が定期的な検査。今は血液検査だけでもかなりいろいろなことがわかるので、忙しくてもせめてそれだけは受けるべきですね。また女性は、乳がん検査や子宮ガン検査といった婦人科系の検査も定期的に受ける方がいいと思います。知り合いにも手術した人がいるのですが、そういう話を聞くと、他人ごとではないなと思いますよ。私自身も選手を引退したことで、今後こういった検査は自発的に行っていかなければなりません。毎年計画を立て、定期的に続けていこうと思います。