乳がん検査は、マンモグラフィと超音波どちらを受ければいい?
年齢によって適した検査が異なります。
乳腺の発達度合いでマンモグラフィの有効が変わる
マンモグラフィと超音波(エコー)はどちらも乳がんを調べる検査ですが、年齢によって適した検査が異なります。年齢の目安はだいたい40歳です。日本乳癌学会が発表している「乳癌診療ガイドライン」によると、乳腺が発達しているか、していないかで、マンモグラフィの有効性が変わってきます。
40歳以上はマンモグラフィがおすすめ
40歳以上の女性はマンモグラフィによる検査が有効とされています。これは、一般的に40歳以上は乳腺が減少してくるためです。このことから、各自治体などが40歳以上の女性に対し、乳がんの集団検診を行う場合は、原則としてマンモグラフィが行われています。
マンモグラフィ検査は乳房専門のレントゲンで、乳房を専用の機器で挟み、薄く伸ばすことで極少量の被曝で乳房の状態を撮影することができます。乳がんがある場合は、画像に白く映ります。しかし、乳腺も白く描出されるため、がんの発見が難しい、またはがんかどうかの判断が難しい場合があります。そのため乳腺が発達している若い世代には向かないとされています。
乳腺が発達している場合には、乳腺超音波検査(乳腺エコー検査)を行います。乳腺超音波検査は、放射線被曝がなく、欧米人に比べて乳房の小さい日本人の場合、乳がんを効率的にみつけることができる可能性が十分にあります。日本乳癌学会によれば、40歳代の女性ではマンモグラフィと超音波を併用することで、マンモグラフィ単独で検査を行う場合よりも多くの乳がんを見つけられることがわかってきたとしています。
したがって40歳以上の場合、乳がん検診を受ける際にはまずマンモグラフィ検査を行い、異常が見つかった場合には追加検査として乳腺超音波検査を受けるという流れが一般的です。
40歳以下はマンモグラフィ検査よりも超音波検査を
40歳未満に対する、マンモグラフィ検査の有効性に関しては、十分な報告がありません。40歳未満では乳腺が発達しており、乳腺密度が高いことから40歳以上の人と比較するとマンモグラフィ検査では乳腺の異常がわかりにくく、検出率も低いとされています。そのため、乳腺超音波検査が推奨されることが多くなります。乳腺超音波検査でしこりの診断をすることは可能であり、しこりの形や境目部分の性状などで良性、悪性の判断をすることが可能です。
日本乳癌学会によると、乳がんの5~10%は遺伝性とされています。乳がん罹患者との血縁関係が近かったり、乳がん罹患者が家系内に多くいたりすると、乳がん発症リスクは高まります。そのため、遺伝的に乳がんにかかりやすいと考えられる人は、20~30歳ごとから定期的に乳腺超音波検査や、小さなしこりを見つけることができる乳房MRI検査を含めた検診を受けることが推奨されます。
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この記事の監修ドクター

マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)