2015.11.16
むくみ

身体がよくむくむ人が受けたい検査とは?

むくみが起こるメカニズムとその原因

むくみ
立ち仕事をしていると、夕方くらいに足がむくむことがある。これは重力などの作用によって血液が心臓へと戻れず、足周囲の組織に停滞することによって起こる。最近では、一日中座りっぱなしで、運動不足に陥りがちなデスクワークの人も、むくみに悩んでいる。むくみは専門的に「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれる症状で、血液中の水分が血管外に滲出することで起こるため、体内の水分バランスが関係している病態といえる。

浮腫には、さきほど挙げたような生活習慣に由来するものと、特定の疾患が原因となるものとがある。前者は生理的なものなので、運動によって下肢の筋肉を鍛えたり、仕事のポジションを変えてもらい生活習慣を変えたりすることで対処することができる。問題なのは後者で、病的な浮腫にはさまざまな臓器の異常が関係しており、症状の現れた方もじつに多様だ。そこでまず、全身に現れるむくみは、どんな病気によって引き起こされるのかについて考えていきたい。

むくみを引き起こす全身の病気とは?

むくみは、全身の水分調節機構が乱れることによって生じる。つまり、腎臓、心臓、肝臓、内分泌系といった臓器が機能不全を起こすことによって、身体にむくみが現れる。腎臓では、血中のタンパク質が減少するネフローゼ症候群が顔や手足のむくみを起こし、心臓では、心機能が低下する慢性心不全によって、おもに下肢のむくみが起こる。

肝硬変になると、下肢のむくみだけでなく、腹痛や黄疸なども現れる。内分泌系浮腫の代表は甲状腺機能低下症で、甲状腺ホルモンの分泌低下にともなって全身にむくみが現れる。顔や手足に加え、目のまわりにもむくみが現れるのが特徴だ。

むくみの原因を突き止めるための検査とは?

ネフローゼ症候群は、血中のタンパクが尿によって排出されてしまう病気であるため、血液検査や尿検査によって診断することが可能だ。慢性心不全は、胸部レントゲンや心エコー検査等を受けることになる。肝硬変は腹部エコー検査や血液検査、甲状腺機能低下症も血液検査を受けることである程度病態を把握することができる。

このように、むくみは下肢だけでなく全身に現れるもので、基本的に水分の調節機構が正常に機能しなくなることで起こる。ただ、その背後には心臓や腎臓という重要臓器の異常が隠れていることがある。生理的なものではないむくみを感じた際には、まず検査を受けることが望ましいといえる。

安里 満信(あさと みつのぶ)
この記事の監修ドクター
あさと医院 院長
医学博士、日本救急医学会専門医

Colorda編集部