忙しいと、ついついおろそかになりがちな食事。
栄養バランスの悪さが気になりつつも結局何もしていない方、必見。旬な食材や話題の栄養価に着目し、気負わずに取り入れる方法を紹介していく。
普段の食事をほんの少しだけ見直していこう。(全6回)

2016.8.18

Vol.2 晩酌のアテで生活習慣を予防!? 青魚の不飽和脂肪酸に注目!

刺身を食べるなら“ひかりもの”を選んでみよう

晩酌の肴にたまには刺身でも…という方、刺身というとどんなものを思い浮かべますか? トロにサーモン、ウニやイクラなどおいしい刺身がいろいろありますが、その中でもぜひ「青魚」に注目していただきたいのです。

魚に含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が身体によいことは、多くの方がご存知かと思います。EPAは血液に働きかけて血栓をできにくくし、DHAは血液のほか、脳や神経にも働きかける効果があります。さて、それらがたくさん含まれているのは、魚油です。つまり魚全体ということになりますが、とくに多いのは腹部分で、DHAは目の周りの脂肪にも多いです。多く含まれている魚は、サバ、アジ、サンマ、イワシなどの青魚。お寿司屋さんでは「ひかりもの」とも呼ばれる、背の青い魚です。

ところで、魚の油って、ギトギトしている肉の脂と違ってサラサラとしていますよね。実はこのサラサラのヒミツは、不飽和脂肪酸にあるんです。

・バランスの取れた食生活を!
高血圧症、脂質異常症、糖尿病が気になる方は定期的な健診・検査で発症リスクを確認しましょう!人間ドックを受診できる医療施設はこちら>

不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸、見分け方は常温の状態

油脂は「油」と「脂」に大別され、常温で液体のものが「油」(魚油、エゴマ油、アマニ油など)、常温で固体のものが「脂」(肉の脂身、バターなど)となります。同じ温度で状態が異なるのは、それぞれの融点(=溶ける温度)が異なるためであり、これは油脂を構成する「脂肪酸」の違いに由来します。

脂肪酸は「不飽和脂肪酸」と「飽和脂肪酸」に分けられます。構造上、不飽和脂肪酸は融点が高いという特徴があるため、これを多く含む「油」は常温で液体になります。一方、飽和脂肪酸は融点が低いため、これを多く含む「脂」は常温で固体となります。

  状態 構成している脂肪酸
液体 不飽和脂肪酸が多い
固体 飽和脂肪酸が多い

そのため、飽和脂肪酸は摂りすぎるとコレステロールを増やしてしまいますが、不飽和脂肪酸は「中性脂肪を下げる効果」があり、したがって脂質異常症の予防につながります。脂質異常症とは、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が健常な人よりも多い状態のことをいい、いわゆる“血液がドロドロ”の状態を指します。自覚症状はほとんどなく、放置しておくと動脈硬化につながりかねないのです。

さらに、不飽和脂肪酸の持つ「血栓ができにくくなる効果」により、高血圧や心筋梗塞、脳梗塞などの血管系の病気の予防も期待されています。このように、EPA・DHAは、不飽和脂肪酸の代表格。生活習慣病予防のまさに救世主と言えるのです。

EPA・DHAがギュッ! 晩酌のつまみはアレを活用

EPA・DHAを効率よく摂るためには、食べ方にもポイントがあります。青魚といえば塩焼きなどの焼き魚が代表的な食べ方ですが、ロースターなどで網焼きしてしまうと油分が溶出してしまい、せっかくの成分が減少してしまいます。

そこでおすすめなのは、魚油を逃がさず食べることのできる刺身やホイル焼きといった食べ方。とくにホイル焼きはアルミホイルで魚を包んで、オーブントースターやフライパンで蒸すだけなのでお手軽ですし、魚と一緒に野菜も入れることで、油をより効率よく摂ることができます。ホイル焼きというと白身魚のイメージが強いですが、サバやイワシでもとってもおいしくできますよ。

とはいえ、忙しいと魚料理は億劫に感じます。そんな方に! 魚を買いに行く時間がなくても、調理する時間がなくても魚を摂取できる方法があるんです。それが、缶詰を利用する方法。魚の缶詰の汁にはたくさんのEPA・DHAが含まれているので、汁ごと使いましょう。あつあつのごはんに汁ごとかけて、マヨネーズ少々と小口切りにしたネギをぱらり。もうひと手間かけられるのであれば、汁ごと小鍋にかけ、卵でとじてどんぶりに。どちらも、ごはんにはかけずそのまま晩酌のつまみとしてもおすすめ。また、ほかの調理法ではなかなか食べられない骨もやわらかくなっているので、カルシウムも摂ることができ一石二鳥です。

ランチを外で食べる方であれば、週に1回は、魚の塩焼き定食や味噌煮定食を選んでみましょう。サバが苦手なら秋のサンマなど、季節によって出回る青魚をぜひ。おいしくていいことづくしの青魚。気軽な健康管理として取り入れてみませんか。

・バランスの取れた食生活を!
高血圧症、脂質異常症、糖尿病が気になる方は定期的な健診・検査で発症リスクを確認しましょう!人間ドックを受診できる医療施設はこちら>


ウェルネスダイニングの新着記事

,

Colorda編集部