2016.6.2
乳がんの腫瘍マーカー

乳がんの再発・転移の追跡に有用な腫瘍マーカー「CA15-3」とは?

乳がんの再発・転移を調べる検査

Paper with words breast cancer and pink ribbon
腫瘍マーカーは、体内にがんの腫瘍ができると、特殊な物質が大量につくられ、血液中に出現するという特性を利用した血液検査だ。今回は、乳がんを発見するための腫瘍マーカーであるCA15-3を紹介する

乳がんは、そのほかのがんと同様、再発や転移のリスクがある。どんなに精緻な治療を施したとしても病変の取り残しがあったり、初期の段階ですでに微小転移を起こしていたりすることがあるからだ。乳がんの再発は多くのケースで2、3年以内に起こり、肺、肝臓、骨、リンパ節などへ遠隔転移する。そのため治療後もしばらくは経過を観察していかなければならない。その際に、乳がんの再発や転移を調べるために用いられるのがCA15-3という腫瘍マーカーだ。

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転移した臓器に応じて陽性率が異なる

ただ、転移した臓器によって上昇値が異なるという点に注意したい。例えば、肝臓や肺といった内臓転移であれば、75%の確率で陽性反応が表れる。これが骨やリンパ節への転移となると陽性率は30%にまで低下する。ちなみに進行がんの陽性率は10%となっており、CA15-3が再発や転移に有用であるということが数値から理解できるかと思う。

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CA15-3の基準値

CA(Carbohydrate Antigen)15-3は、乳がんに対して特異性を持つ抗原だ。発症初期の乳がんではあまり見られないが、乳がんの治療後、再発や転移を起こした際に血液中の濃度が上昇する特徴がある。

CA15-3の基準値は30U/ml以下だ。CA15-3は、組織が傷害される際に血中に放出される物質で、なかでも特異度が高いのが乳がんだ。CA15-3が高値を示せばまずは乳がんの再発や転移が疑われる。

しかし、このCA15-3は、子宮内膜症や骨盤炎症性疾患、それから肝炎といったがん以外の疾患でも高値を示すことがあるため、異常値が確認できたら、必ず、乳がんを調べる精密検査を受けておきたい。胸部X線やCT検査を受けることで、乳がんが再発したかどうかを調べることができる。

また、消化器系がんやそのほか、肺や腎臓など幅広いがんに反応するCEAといった別の腫瘍マーカーを調べるという手もある。いずれにしても、腫瘍マーカーCA15-3はあくまでスクリーニング検査という位置づけであり、確定診断にはさらなる検査が必要といえる。

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矢後 尋志(やご ひろし)
この記事の監修ドクター
東京ベイサイドクリニック 院長
医学博士【研究テーマ:大腸癌発癌】/日本外科学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医/日本消化器病学会専門医/日本肝臓学会専門医/日本泌尿器科学会専門医/日本消化管学会胃腸科認定医/日本人間ドック学会認定医/内視鏡的胃内バルーン留置術認定医/内痔核四段階注射法認定医/日本医師会認定産業医

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Colorda編集部