2016.9.12
皮膚がん

皮膚がんの検査方法と治療法

年間2万人以上の罹患が予測される皮膚がん

Dermatologist examines a mole of male patient
日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が死亡すると言われているがんは、医療技術の進化により早期発見が可能になってきている。がんの検査方法と治療法シリーズ第9回は、2016年のがん統計予測で26,000症例が新たに罹患するとされている皮膚がんについて紹介する(※1)。

皮膚にはいくつかの階層が存在しており、なかでも基底層と有棘層には悪性腫瘍が生じやすい。基底層とは表皮の最も深い部分を指し、そのうえに有棘層が存在している。それぞれの階層にできる悪性腫瘍を基底細胞がんと有棘細胞がんと呼び、日本人における皮膚がんの発生頻度の1位と2位を占める。ここでは、基底細胞がんと有棘細胞がんの検査法や治療法について詳しく解説する。

初期診断は皮膚生検でがんの有無を調べる

皮膚がんは肉眼で確認しやすい悪性腫瘍であり、ほかのがんと比べて発見が容易といえる。なぜなら、ホクロといった視認しやすい形で病変が現れるためだ。それだけに皮膚がんでは、医師による視診や触診が重要となる。皮膚の異常な隆起や潰瘍、あるいは出血などが見られる場合は、皮膚がんの疑いが高まる。

そこで多くのケースで行われるのが皮膚生検だ。病変が見られる皮膚の一部を採取し、顕微鏡で観察する。腫瘍細胞特有の構造が見られれば、確定診断となる。具体的には、細胞や核の多形成や核分裂像の増加などだ。このプロセスは、基底細胞がんと有棘細胞がんとで共通している。ただし、有棘細胞がんは比較的病変が大きい傾向が強く、皮膚生検で採取する組織もそれに応じて大きくなる。

皮膚がんを調べる2つの画像診断、CTとMRIを比較

皮膚生検によって悪性腫瘍の存在が確認されたら、次は病変の深さや広がり、転移の有無を確認するために、CTやMRIによる画像検査が行われる。それぞれの検査の特徴は以下の通りだ。

被曝 時間 費用
CT あり やや短い 同等
MRI なし やや長い 同等

CTはエックス線を照射し体内の状態を画像化する検査で、MRIは強い磁石と電波を使い体内の状態を断面像として描写する検査だ。CTは検査時間が被曝のリスクはあるが検査時間が短い。一方、MRIは大きな音がする装置の中に入り、10分や20分間、身体を静止しなければならないため、人によっては苦痛を感じるかもしれない。

ふたつの検査方法の違いは「MRIとCTスキャンの違いは何?」をチェックしてほしい。

皮膚がんの治療法

基底細胞がんは、そのほとんどが2cm以下の小さな病変であり、ほかの組織へ転移することもまれであるため、基本的には切除療法のみで対応する。一方、有棘細胞がんは2cm以上の病変となることも珍しくなく、転移の可能性も低くはない。そのため治療は、切除療法のみならず、化学療法や放射線療法を必要に応じて組み合わせていく。いずれの場合も、内臓に生じるがんと比べると、完治する可能性は非常に高い。ステージⅠの場合であれば、5年生存率は100%だ。

皮膚がんはその性質上、早期発見早期治療を行いやすい疾患。そのカギを握るのは医師による視診や触診、それから皮膚生検であるため、皮膚に気になる変化が現れた際には、すぐに検査を受けることをおすすめする。

※1 2016年のがん統計予測(がん情報サービス がん登録・統計)


Colorda編集部