MRIとCTスキャン、それぞれの仕組みは?
企業の健康診断も国民健康保険の定期検診も、毎年5~6月がもっとも受診者の増える時期。「MRI」と「CT」という言葉を耳にした、あるいは検査したという人も多いはずだ。
この2つの検査、何となく”体を輪切りにしてよく検査する”というイメージがあるものの、違いについて分かっていない人が多いのではないだろうか。
どちらも丸い機械の中に入って体の断層を見る検査技術のことだが、原理は以下の通りだ。
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像):強力な電波を使って、体内にある水分に作用して断層を撮影する
CT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影法):X線検査の立体版で、レントゲン照射した後にコンピュータで画像を作り出す
MRIとCTは撮影技術がそもそも異なっている。
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時間は長いが放射能被爆ゼロのMRI、時間は短いが被爆するCTスキャン
MRIとCTにも、それぞれメリットやデメリットがある。
MRIのメリットは、脳や筋肉など水分の多い箇所の画像診断に力を発揮することや、放射線被爆の心配がないので妊婦やお子様にも安心という点が挙げられる。
一方、デメリットは、全身の撮影に30分〜1時間程かかり、さらに、狭く音がうるさい空間に長時間いる必要があるということだ。
CTのメリットは、骨など水分が少ない箇所の画像診断に力を発揮し、全身の撮影にわすか2.30秒しかかからない点だ。
一方、デメリットは、放射線を使うため、多少なりとも被爆してしまうこと。また、内蔵の診断をする際等は、骨が一緒に写ってしまうため、見えない部分が出てくることである。
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どんな場合にどっちを受ければいい?
MRIとCTはそもそも撮影技術や形式が異なるものなので、病状や撮影箇所、目的などによって選択される。医師が適切にどちらかを選択するので、受診する側に選択を迫られるという心配はない。
しかし、ペースメーカーが埋め込まれている人は、MRIは磁場の高い環境に長時間いるため検査ができない場合があるので告知が必要となる。また、妊婦は放射能被爆の可能性があるCTスキャンの検査は避けたい。妊娠中であることを医師に伝えることが大切だ。
人間ドックを受診する際、今自分が感じている違和感や健康不安、既往歴などを医師に的確に伝えることが重要とも言える。
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マーソ株式会社 顧問
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)