2017.1.26
上部内視鏡検査

上部内視鏡検査の鼻から? 口から? 【初めての上部内視鏡シリーズ Vol.3】

上部内視鏡検査は「オエッ」とする嘔吐反射を伴う

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上部内視鏡検査は食道や胃の状態を、光を伝送するガラスファイバーの先に対物レンズと接眼レンズがついた内視鏡でリアルタイムで観察し、病変を発見する検査だ。一般的に胃カメラとも呼ばれているが、厳密には異なる。胃カメラは、挿入管の先端に小型カメラがついた器具で、検査後に写真を現像して病変を診断する器具で、近年では上部内視鏡が主流だ。

この上部内視鏡検査中に内視鏡が鼻や口、食道などを通る際、「オエッ」とする嘔吐反射を伴うことがあるため、つらい検査というイメージがある人も多いだろう。とくに内視鏡が口腔から咽頭にかけて通過する際には、強い吐き気を感じるケースが多い。そうした嘔吐反射を防止する目的もあって、最近では鼻から内視鏡を通す経鼻内視鏡が活用されるようになった。

初めての内視鏡シリーズ第3回は、経鼻内視鏡と口から内視鏡を通す経口内視鏡とで、どのような違いがあるのかについて詳しく解説する。

内視鏡の直径と挿入経路の違い

上部内視鏡検査で嘔吐反射が誘発される最大の原因は、舌根部に対する器具の刺激だ。経口内視鏡では、口腔から咽頭へと至る際にどうしても舌根部を通過しなければならないため嘔吐反射が発生することが多い。一方、経鼻内視鏡であれば、鼻腔から直接咽頭、喉頭へと通過していくため、嘔吐反射が生じるリスクが減少する。

また、経鼻内視鏡と経口内視鏡とでは、器具の直径が大きく異なる。経鼻内視鏡の直径が5~6mmであるのに対し、経口内視鏡の直径は8~9mmと2倍近くの太さを有している。この違いは、挿入した際の異物感や不快感とも大きく関わってくる。

経鼻内視鏡のデメリット

経鼻内視鏡は比較的細く、嘔吐反射を誘発しにくい。また、検査中に会話することも可能で、経口内視鏡に比べると多くの利点を挙げることができるが、欠点もいくつか存在する。

経鼻内視鏡は経口内視鏡と比較すると、装置自体が細くコンパクトに作られているため、映像の鮮明度が劣る。それに加え、検査中に大きな病巣が見つかった場合は、経口内視鏡の場合は、1mm程度であればその場で切除することができるが、経鼻内視鏡では難しいという欠点もある。もちろん、生検に用いるための組織採取程度であれば、経鼻内視鏡でも十分行うことができる。


Colorda編集部