2017.1.29
上部内視鏡検査と麻酔

上部内視鏡検査の麻酔は、部分麻酔? 全身麻酔?【初めての上部内視鏡シリーズ Vol.4】

内視鏡検査時の麻酔の必要性

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上部内視鏡検査は、食道や胃の状態をリアルタイムで観察できる検査だ。一般的には胃カメラとも呼ばれるが、厳密には内視鏡と胃カメラは異なる。(詳しくは、『上部内視鏡検査とはなにか?【初めての上部内視鏡シリーズ Vol.1】』)

管を消化管へと挿入するため、大なり小なり痛みや不快感を伴う。そうした患者の身体的負担を軽減するために、検査前には麻酔を施されることが多い。初めての内視鏡シリーズ第4回は、上部内視鏡検査で実施される麻酔の種類やその影響、メリット・デメリットなどについて詳しく解説する。

上部内視鏡検査における麻酔の種類

上部内視鏡検査では、おもに2種類の麻酔が施される。ひとつ目は、内視鏡を挿入する際の痛みを和らげるために、鼻腔や咽頭付近に施される部分麻酔である。形態はゼリー状であったり、気体状であったりとさまざまだ。

ふたつ目は静脈内鎮静法と呼ばれる麻酔で、脳や脊髄で構成される中枢神経の働きを適度に抑制し、恐怖心や不安感などを取り除く。半分眠ったような状態になるが、意識を失うことはなく、呼吸などが止まることもない。この点が全身麻酔との大きな違いといえる。

麻酔を効かせることのメリット

上部内視鏡検査で鼻腔や咽頭に部分麻酔を効かせることは、検査に伴う痛みを軽減するというメリットがある。内視鏡を挿入する際に強い痛みを感じる人が多いため、そこに部分麻酔を作用させることで患者への身体的、精神的負担は大きく減少する。

静脈内鎮静法に関しては、内視鏡が消化管内に挿入されているという不快感や異物感を取り除くだけでなく、検査を行いやすいように胃のなかを炭酸ガスで満たすことが可能となる。そうすることで、胃粘膜のヒダが広がり、病変部をより発見しやすくなるのだ。これがもし静脈内鎮静法を行わずに実施すれば、患者は胃の膨満感で強い苦痛を感じるケースが多い。

麻酔を効かせることのデメリット

内視鏡検査で麻酔を効かせると、治療費がやや高くなるというデメリットがある。それから静脈内鎮静法を実施した場合は、検査後も一定時間、中枢神経の活動が鈍化するため、その日は車やバイクを運転したり、激しい運動をしたりすることは難しくなる。

このように、上部内視鏡検査で麻酔を効かせることにはデメリットもあるが、十分なメリットも得られるため、より精密な検査結果を得るうえでは非常に有用な処置といえる。


Colorda編集部