2015.6.11

「前より疲れやすい…」と思ったら、男性の更年期障害!?

見逃しがちな、男性の更年期障害のサイン

男性 更年期障害男性の更年期障害は、LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)とよばれ、40歳代で自覚されることが多い。男性ホルモン「テストステロン」の減少が原因だが、男性は女性に比べホルモン分泌量の変化が穏やかなため、ただの老化現象ととらえられがちだ。だが、テストテロンが低いと、活力と性機能が失われ、QOLに大きな影響を与えることになる。
症状の評価には、Aging Male Symptom (AMS)スコアが世界的に使用されている。AMSは、精神・心理、身体、性機能についての17項目についてのセルフアセスメント型の症状スコアである。更年期障害のサインを見逃さないよう、まずは以下の項目に点数を付け、合計点を出してみてほしい。

ない=1点 軽い=2点 中程度=3点 重い=4点 非常に重い=5点

  • 総合的に調子が思わしくない
  • 関節や筋肉の痛み
  • ひどい発汗
  • 睡眠の悩み
  • よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
  • いらいらする
  • 神経質になった
  • 不安感
  • 身体の疲労や行動力の減退
  • 筋力の低下
  • 憂うつな気分
  • 「絶頂期は過ぎた」と感じる
  • 力尽きた、どん底にいると感じる
  • ひげの伸びが遅くなった
  • 性的能力の衰え
  • 早朝勃起の回数の減少
  • 性欲の低下

17点~26点=問題なし 27点~36点=軽度 37点~49点=中程度 50点以上=重度
合計が50点以上の人には、泌尿器科やメンズヘルス外来の受診をお勧めする。中程度の点数の人も、「テストステロン」が減らないよう注意が必要だ。

「テストステロン」の減少が引き起こす、ゆゆしき問題

筋肉を増強させる役割をもつ「テストステロン」の分泌量が減ると、筋肉と基礎代謝量が落ちていき、結果、肥満やメタボのリスクが高まる。また、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中になる可能性を招くうえに、血管の細さと関連している「ED」や「頻尿」、「動悸」といった症状を引き起こしてしまう。さらには、「テストステロン」の値が低いと、意欲が低下して「うつ病」になりやすいという報告もあり、働き盛りの40代、50代にとって、これはゆゆしき問題だ。

「テストステロン」値をキープするにはどうしたらいい?

ありきたりだが、「睡眠」「食事」「運動」がキーワード。睡眠による疲労回復で、「テストステロン」の値が高くなることがわかっている。ぬるめの風呂に入る、寝る前のブルーライトは禁止など、睡眠の質に気を配ってみよう。食事はタンパク質の摂取が効果的で、鶏のササミや胸肉、牛ヒレ肉、マグロ、カツオ、サケなどが適している。ほかに、タマネギのケルセチンという成分が、「テストステロン」の排出を抑えてくれるので、積極的に摂るとよい。また、筋肉トレーニングやジョギングなど、適度な運動を取り入れて、生活習慣をトータル的に改善することが大切だ。さらに、強いストレスで「テストステロン」の生成が妨げられるので、忙しくてもストレス発散を忘れないようにしたい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部