2017.3.2
マンモグラフィー

乳がんを調べるマンモグラフィーとは?【初めての乳がん検査 Vol.2】

マンモグラフィーは、腫瘍を見つけるエックス線検査

マンモグラフィは、乳がんの早期発見に有用な乳房エックス線撮影検査のこと。厚生労働省は、2004年度からの指針で、40歳以上の女性を対象に、視触診及びマンモグラフィ併用によるがん検診を2年に1度実施することが定められている。初めての乳がん検査シリーズ第2回は、女性の部位別がん罹患数ナンバー1の乳がんを早期発見するために受診したいマンモグラフィの撮影法などについて詳しく解説する。

マンモグラフィとは乳房専用のエックス線検査だ。乳房を専用の板で圧迫した状態でエックス線を照射する特徴があり、肺や胃を調べるレントゲンと同じ原理の検査である。乳がんだけでなく、良性の腫瘍、例えば線維腫や葉状腫瘍など腫瘍の発見、鑑別を行うことができる。乳腺内に現れた石灰化物は白い不透過像として描写され、正常組織との濃度差が明白となる。石灰化物の性状によっても、良性か悪性かをある程度見極めることも可能だ。

乳房を圧迫し撮影する、マンモグラフィーの撮影法

マンモグラフィの撮影法は、CC(頭尾方向)撮影とMLO(内外斜位方向)撮影の2種類がある。これらは乳房の圧迫方法の違いに由来するもので、CC撮影では乳房を上下から挟み込んで撮影を行う。MLO撮影では乳房を横方向から斜めに挟み込んで撮影を行う。MLO撮影は乳房全体を描写するのに優れており、CC撮影はMLO撮影では描写しにくい乳房内側の組織を描き出すのに適している。いずれも乳房を片側ずつ撮影していく。

なぜ乳房を圧迫しなければならないのか?

マンモグラフィでの検査は、撮影の際に乳房を圧迫しなければならない。そのため、痛みを感じる人も多い。なぜマンモグラフィでは乳房を圧迫する必要があるのか。それはエックス線像を鮮明にするためである。

乳房には血管や神経、乳腺などの組織が密集しているため、腫瘍や石灰化があったとしてもはっきりと画像に表れないことがあるのだ。また、乳房を圧迫することは、撮影時の被曝量を軽減することにもつながる。

マンモグラフィで石灰化物や腫瘤などが見つかった場合は、良性と悪性によってその後の治療が大きく異なる。線維種や乳腺症のような良性病変の場合は、経過観察することが多い。一方、悪性腫瘍である乳がんが検出された場合は、外科切除術などをはじめ、化学療法などさまざまな治療を施していくこととなる。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部