2017.2.6
乳がん検査

乳がん検査はどんな人が受けるべき?【初めての乳がん検査 Vol.1】

女性の部位別罹患率No.1は乳がん

S_shutterstock_225460834国立がん研究センターの調べによると、2016年の女性の部位別がん罹患数予測では乳房が1位となっている。それだけに女性であれば、乳がんに対する備えは常に行っておきたいものだ。初めての乳がん検査シリーズ第1回は、乳がん検査はどんな人がどんなケースで受けるべきなのかについて解説する。

乳がん検査が必要な年齢は?

日本乳癌学会の2005年次報告によると、乳がんの罹患率は20歳代後半から増加し、50歳代でピークを迎える。そのため、この範囲の年齢の女性は、乳がん検査を受けるべきといえる。厚生労働省では、40歳以上の女性に対して乳がん検診を受けることを推奨しており、その費用の一部を各自治体が負担することになっている。また、自治体によっては40歳以下でも特定の年齢で一部負担を行っている場合がある。40歳以下の人も、まずは自治体に問い合わせてみることをおすすめする。

乳がん検査を受けたほうがよい人の特徴は?

乳がんには、いくつかのリスクファクターが存在する。例えば、家族内に乳がん患者がいる場合は大きなリスクファクターとなり得るため、乳がん検査は定期的に受けておきたい。また、乳がんの罹患には女性ホルモンが関係しているとされており、初潮が早かったり、初産が30代以上であったりするケースでも乳がんのリスクは増加するため、該当する人は一度、乳がん検査を受けておきたいところである。

こんな症状はまず医療施設へ

乳がんにかかると、乳房にさまざまな異常所見が現れる。比較的わかりやすいのが乳頭からの血性分泌物である。これは乳管内に腫瘍が生じている際に見られる所見で、血液を伴った分泌物が乳頭から出るため患者も自覚しやすい。

次に挙げられるのが、いわゆるしこりと呼ばれる所見である。しこりは自身で乳房を触診することでも発見することができる。そのほかにも、乳頭や乳房の皮膚の陥凹(かんおう、いわゆる“へこみ”のこと)が見られる場合も乳がんの可能性が考えられる。陥凹は、乳房の組織内に腫瘤が生じることで表面の乳頭や皮膚が牽引されて現れる。

こうした異常所見が見られる場合は、迷わず医療施設へ行こう。早急に治療を受ける必要がある可能性が高い。ちなみに、こうした症状があって、なおかつ検査が必要という医師の判断があった場合は、乳がん検査にかかる費用は保険適用となる。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部