2016.10.6
乳がん

乳がんの検査方法と治療法

罹患率が長年増加傾向の乳がん

Mammography is the process of using low-energy X-rays (usually around 30 kVp) to examine the human breast and is used as a diagnostic and a screening tool. The goal of mammography is the early detection of breast cancer, typically through detection of characteristic masses and/or microcalcifications.日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が死亡すると言われているがんは、医療技術の進化により早期発見が可能になってきている。がんの検査方法と治療法シリーズ第14回は、女性における罹患率が長年増加傾向の乳がんについて紹介する。

乳がんは、乳房に生じる悪性腫瘍だ。がん全体に占める罹患率は1位。年々上昇しており、2位の大腸がんとの差は開くばかりである。しかし、死亡数となると順位は5位と下がる。なぜなら、検査による早期発見が可能であり、また外科療法が有効で治療が可能だからだ。ここでは、そんな乳がんの検査法と治療法について解説する。

マンモグラフィー検査や超音波検査の比較

乳がんでは視診や触診のほかに、マンモグラフィー検査や超音波検査が行われる。まずはマンモグラフィー検査や超音波検査の特徴を比較してみよう。

時間 被曝 若年者 妊婦
マンモグラフィー 短い あり 向かない 向かない
超音波検査 長い なし 向く 向く

マンモグラフィーは、乳房をプレートで挟み、極力、薄く平たく伸ばした状態でエックス線撮影を行う検査だ。プレートで挟む際、人によっては痛みを感じる場合がある。また被曝を伴う検査だ。乳腺に生じる石灰化した腫瘍を検出できるが、若年者には向かないという欠点もある。これは若年者の乳腺が著しく発達しているため、乳腺が白く映り込み、病変部を見極めにくくなるためだ。また、一定の被曝を伴うため、妊娠中はマンモグラフィー検査を控えるよう促す医師も少なくない。

一方、超音波検査であれば被曝を伴わないため、妊娠中も受診することができる。検査中に乳房を挟むという過程もなく、乳腺が発達した若年者でも問題なく受けることができる。ただし、マンモグラフィー検査ほど画像は鮮明ではないため、小さな石灰化物などは検出しにくいので、超音波検査では、大まかな病変やリンパ節への転移の有無などを調べていく。年齢や状態にあわせて2つの検査を選択し、診断を下す。

乳がんの治療法

乳がんでは、基本的に外科療法、放射線療法、化学療法の3つを組み合わせて治療が進められる。進行度が低い乳がんであれば、がん化した乳房の部分切除で対応できるが、進行度が高くなるにつれ乳房を全切除、関連するリンパ節の郭清範囲も広がっている場合は、3つの両方を組み合わせていく。乳がんの末期であるステージⅣでは、外科療法が行えず、化学療法のみで対応するケースも珍しくはない。

死亡率は高くない乳がんだが、再発率の高いがんとしても有名で、完治を目指すのであれば早期発見が重要なポイントだ。そのためには、マンモグラフィー検査や超音波検査などを定期的に受けける必要がある。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部