2015.7.2

心電図と心拍数で知ることができる身体の状態

心電図と心拍数を検査する意味とは?

心電図
心臓の検査で使用する心電図と心拍数は、心臓の状態を知る重要な手がかりである。日本人では30歳以上からの受診が推奨され、人間ドックの検査のメニューでは必須だ。いずれも、ベッドであおむけの状態で身体に電極を貼り、検査を行う。心拍数とは、1分間に心臓が拍動する回数を指す。心電図は、心臓の血液を送り出す際の収縮や拡張のリズムおよび間隔、また状態を調べることが可能である。実は、この2つの検査を行うことで、ほぼ8割程度の確率で心臓病の症状を見つけ出すことができる。

心拍数の早さで疑われる病気

心臓の拍動の間隔が短い場合は、致死性の高い、心筋梗塞、狭心症、心房細動といったおもに心臓の血液不足が原因になる病気のほか、バセドウ病や貧血などのホルモンや血液の病気が疑われる。逆に長い場合は、洞不全症候群、完全房室解離など、心臓自体の組織に損傷がある病気、ホルモンの低下による橋本病の可能性が高くなる。

これに加え、心電図で明らかになる、心臓の収縮や拡張の状態にも異常がある場合、心臓病の確率が高くなる。

心電図の読み取り方と心臓の異常の関係

心電図では、心臓の異常箇所と疑われる病気を、こと細かく予測することが可能だ。心電図のグラフに示される「PQRST」といった各地点間から病気の種類を診断できる。各地点はそれぞれ、「P」が心房の興奮の起点、「Q」はその信号が心室に伝わった地点、「R」は心室の収縮開始、「S」は心室の収縮の終わり、「T」は心臓の拍動の落ち着いた地点を指す。この「P」と「Q」の間隔が狭かったり、不規則なグラフを描いていたりする場合は、心房疾患の可能性が高くなり、「R」から「T」までの地点で異常がある場合は、心室の病気の可能性が高くなる。また、規則正しい心拍が見られない場合は不整脈と診断され、規則正しいリズムだが心房の起点の興奮が見られない場合は、心臓の刺激電動系の診断を下すことができる。

心電図と心拍数を調べるだけでは、心臓病と判断できない場合もある。病気が重篤になる前の定期的な検査を推奨する。

小坂 英和(こさか ひでかず)
この記事の監修ドクター
こさか内科・内視鏡内科 院長
医学博士(神戸大学)/日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化管学会 胃腸科専門医/日本リウマチ学会 リウマチ専門医/日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医・指導医

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Colorda編集部