2015.4.23

乳がん検査のマンモグラフィとエコー、どっちがどうなの?

マンモグラフィとエコー、どんな検査内容?

pinkribonマンモグラフィとは、乳房専用の装置を使ったX線(レントゲン)撮影のこと。放射線検査のため、妊娠中の女性は受けられない。乳房をそのまま撮影すると、乳腺と他の組織が重なって映ってしまうため、乳房を片側ずつ、透明な板に挟んで乳腺を広げ、上下、左右と方向を変えて2回撮影する。乳腺は大胸筋の筋膜の内側にあるため、撮影時は筋肉の一部も挟むことになり、痛みを伴うが、乳房が張って痛みやすい月経前を避ける、肩の力を抜いてなるべくリラックスして臨む、などで痛みは軽減できる。

エコーとは、いわゆる超音波検査のこと。人間の耳は感知しない高周波の音波を身体にあて、その反射波を利用して体内の腫瘍や結石などを診断する画像診断法で、被爆の心配がない。内臓を始め、広く全身に用いられる。乳がん検査では、乳房にプローブ(探触子)を当て、モニターで画像を確認しながら行われる。検査時、乳房にはプローブと体表を密着させるために医療用ジェルを塗る

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それぞれ一長一短、“わかること、できること”を知ろう

マンモグラフィとエコーは、ともに乳がん発見のための検査だが、わかることはそれぞれで若干異なる。マンモグラフィは、セルフチェックや医師の触診でもわからない、ごく小さながんの兆候(石灰化)が鮮明に映る。石灰化した組織も正常な乳腺も、画像では同じ白色に映るので、乳房の個人差により判別しにくい場合がある。その点、エコーは、腫瘍部分が黒く映り、腫瘍内部の状態も画像から読み取ることができる。気になる部分をプローブで探りながら、重点的に診ることもできる。ただし、エコーで発見できる腫瘍は数ミリ程度からで、乳がんのごく初期段階である乳腺の石灰化を捉えることはできない。

こうした一長一短を補うため、乳がん検査はマンモグラフィとエコーをセットで行うことが多い。ただし、年齢や身体の状態によっては、どちらかひとつで充分な場合もある。医療施設に電話でたずねたり、当日医師に相談したりしながら決めるのも、ひとつの手。いずれにせよ、自分の身体に適した検査を、定期的に継続して受けることが、乳がんの最も有効な予防策だ。

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上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部