2015.4.30

頭部MRIとMRAの違いって何? どんな病気を見つけられるの?

使う装置も方法も同じだけど…

MRI Brain Scan最近、導入する医療機関が増えているMRA(Magnetic Resonance Angiography)。よく耳にするMRI(Magnetic Resonance Imaging)とは何がどう違うのか。
頭部MRIとMRA は、どちらも頭部の画像を撮影し、診断するための方法である。MRIは全身の検査をおこなうが、MRAは基本的に頭部に用いられる検査法で、必要に応じて、頸部や下肢の血管を造影する際にも用いられることがある。そんな両者は、強力な磁力を発するMRI装置を使うという点でも共通している。また、レントゲンやCTなどと異なり、被曝する恐れがないという点も同じである。

では一体、MRIとMRAとでは、どこが違うのか。一言で言えば、それは「何を映し出すか」の違いだ。両者は、使う装置も方法も同じであるが、その結果得られる画像情報がまったく異なるのである。

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MRIは組織の異常を描き出す

頭部の検査と言えば、まずMRIである。細胞の集まりである脳という「組織」 に異常がないかを検査することができる。電磁波を当てることで、頭部の細胞に含まれる水素原子が反応し、3次元的な画像を得られ、脳を立体的に見ることが可能だ。

具体的には、脳細胞が肥大化することによって生じる脳腫瘍。あるいは脳を栄養している血管から、血液が流出してしまっている脳出血などを描出することが可能となっている。
このように、頭部MRIでは比較的大きな病変を視覚化することができるのだ。

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MRAは血管の異常をあぶり出す

一方、MRAでは、造影剤を使用せずに脳全体に張り巡らされている血管だけを描き出すことができる。つまり、血管の一部が瘤(こぶ)状に盛り上がった脳動脈瘤や毛細血管が正常に形成されず、動脈と静脈が直接つながってしまう動静脈奇形などを早期に発見することができるのだ。脳動脈瘤はくも膜下出血を、動静脈奇形は脳梗塞を引き起こすリスクがあることからも、早期発見は重要だ。

このように、頭部MRIとMRAでは、見える画像も発見できる病気も異なると言える。これらを駆使すれば、頭部の健康状態を把握することができ、死亡リスクの高い脳疾患を予防することが可能となるのだ。

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上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部