2015.6.25

30代の老眼予備軍が増えている!? 今から始められる老眼ケアと最新治療

老眼ってなんでなるの? 原因と傾向

老眼老眼とは、誰もが知る老化現象の一つである。遠くのものや近くのものにピントを合わせるカメラのレンズのような役割を果たしている「水晶体」が、年齢とともに固くなり、水晶体の厚みを調節する毛様体筋が衰え、近くのものにピントを合わせられなくなるために起こる症状である。40代に入る頃から少しずつ症状が進行していき、近くが見えないといった症状を感じ始める人も多い。
老化の原因は、加齢によるものが大きいが、ほかにも目の酷使などが挙げられる。スマホやPC、読書、ゲームなど、近距離を集中して見ることで、毛様体筋に負担がかかり衰えてしまうのだ。そのため最近では、30代の若い世代で老眼予備軍が増えつつある。以下の症状がある人は要注意だ。

  • 夕方になると近くのものが見えづらい
  • 目が疲れる、ぼやける
  • 頭痛や肩こりを感じるようになった
  • PCやスマホを毎日、長時間使用する
  • 本や新聞を知らない間に離して読んでいる
  • 遠くに視線を向けた時、すぐにピントが合わせられない

日常でできる老眼予防とは?

老眼予防は、日々の暮らしのなかで、簡単に取り入れることができる。第一に、目の疲れを取り除くこと。蒸しタオルなどで目元を温め、血流を良くすることで一日の疲れを翌日に持ち越さないようにケアしよう。

次に、毛様体筋を鍛えること。簡単にできるトレーニング方法として、「遠近体操法」をおすすめしたい。近くと遠くを交互に見るというトレーニング法で、毛様体筋を緩め、凝りをほぐすことができる。筋力をアップすることで、老化を防ぐだけでなく、視力回復も可能だ。

そして、紫外線ダメージを受けないこと。紫外線は目の細胞に大きなダメージを与え、老眼を促進させるため、外出時にはサングラスやメガネ、帽子など着用して紫外線を避ける工夫が必要である。このように、日々のちょっとした心がけで老眼は予防できるのだ。

治せる時代がやってきた! 最新老眼治療

今や、老眼は手術で治せる時代であることをご存知だろうか。その方法は大きく3つある。1つ目は「アキュフォーカスリング」。「ピンホール効果」という目の性質を利用した矯正方法だ。ピンホール効果とは、小さな穴から見ると、近くのものがはっきり見える現象のこと。手術は、片眼の中央に小さな穴が開いているカメラインレー(直径3.8ミリ・厚さ5ミクロン)というリング状のものを角膜内に挿入する。手術時間は10分程度、痛みもなく入院も必要ない簡単な手術だ。

2つ目は「Vue+(ビュープラス)」。水を70%以上含有しているraindrop(レインドロップ)という小さなレンズを、片眼の角膜実質内に挿入する。角膜の中央が厚くなり、中心の屈折率が増えて近くや中間が見えやすくなるという矯正方法だ。手術時間は、数分程度。レーシックと同時に受けることも可能で、ドライアイになりにくいという特徴がある。

最後は「モノビジョンレーシック」という方法。片眼で遠くを、もう片眼で近くを見るように左右の視力に差をつけることで、脳が見え方の情報を使い分け、ピントを合わせることができるという矯正方法だ。通常のレーシックと同じ方法で、左右の目の度数を変える手術を行う。手術時間は15分程度である。近視、遠視、乱視も同時に矯正可能である。

もう、老眼は老化現象だから仕方ないと煩わしさを受け入れる必要はないのだ。ただし、老眼治療はまだ一般的ではないため、メリットデメリットをしっかり把握し、医師に相談の上手術を受けることが重要である。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部