ヘアメイクアップアーティスト
金坂 純子さん
かねさかじゅんこ●1973年東京生まれ。1991年に日本美容専門学校を卒業後、ヘアメイクアシスタントに。1993年から3年間渡英。帰国後、1997年からフリーランスとしての活動を開始する。以降、テレビや雑誌、CMなどに出演する数多くの芸能人のヘアメイクを担当するほか、クレンジングクリームの監修を行うなど、幅広く活躍。2016年からは拠点をハワイに移し、新たなステージでの活躍を目指す。
目標に向け、夢中で走り抜けた20年の月日
――――ヘアメイクの仕事は、金坂さんの子どものころからの夢だったのですか。
そういうわけではありません。でも、美容には興味がありましたね。私はあまり覚えていないのですが、子どものころも、よく妹の髪を結っていたと母が言っていました。そもそも私がこの仕事を始めた20年くらい前は、ヘアメイクという仕事自体がメジャーではなく、美容のお仕事といえば美容師がメインでした。でも、美容学校在学中にこの仕事に出合い、ヘアやメイクの作品を世に送り出すということにおもしろさを感じ、そちらの道を選んだのです。
――金坂さんは今、ヘアメイクの世界の第一線で活躍されていますが、ここに至るまでにどんな道のりを歩んでこられたのですか。
学校卒業と同時にこの世界に入り、まずはアシスタントからスタートしました。初めはひたすら師匠について現場を回る日々。時間は不規則だし、厳しいし、お給料も安いし、何度もやめようと思いました。でも次第に、そんな悔しい気持ちが、いつか師匠を超えたいという思いに変わっていったのです。その後、イギリスに渡って3年程過ごしました。語学や外国人とのコミュニケーションを学べるなどプラスになったことも数多くありましたが、若さゆえの勢いだったこともあり、仕事としてはあまり結果を出すことはできませんでしたね。
帰国後、フリーランスとして本格的に始動してからは、もう無我夢中で仕事をしました。24時間スタンバイし、いただける仕事はすべて受けるというスタンスでした。テレビ番組などのエンドロールに自分の名前を並べたい、雑誌の表紙を担当したいというのが当時の目標でしたね。幸い、まわりの方々の助けもあって順調にここまで進んでこられましたが、常に寝不足ですし、決まった休みも取れず、年齢を重ねた今、体力的にだんだんキツくなってきたというのが正直なところです。
――――目が回るような忙しい生活を送りながらも、高いパフォーマンスを維持してこられたからこそ、今の金坂さんがあるのだと思いますが、何か体力維持のためにされていることなどありますか。
もともと運動が好きなので、若いころからずっとワークアウトを続けていますが、最近はおもに、ヨガと加圧トレーニングをやっています。加圧トレーニングはかなりキツイのですが、普通の筋トレに比べ短い時間で効果を得られるので、忙しい人にはおすすめですね。また、成長ホルモンが出てアンチエイジングにもなるそうで、確かに肌の調子のよさも実感しています。ヨガはここ5年くらい続けているのですが、いわゆる普通のリラクゼーション的なものには物足りなさを感じ、たどり着いたのがビクラムヨガというパワー系のヨガ。これがまたけっこうキツくて、1時間半しっかり自分と向き合わないと続かないんです。でもそれが返って自分の不調の確認にもなりますし、無になることで自分をリセットできるので、メンタル面で大きな効果を得られています。
――食事への意識など、健康面では何か気にされていることはありますか?
食べることが好きなので、基本的には好きなものを食べていますが、普段、仕事の現場ではロケ弁が多いので、お休みの日や時間があるときにはできるだけ自炊するなどしてバランスには気を配るようにしています。お酒も、飲むことで楽しい時間が過ごせたり、ストレス発散になったりもするので、毎日ではないですが、自分なりにメリハリをつけて飲んでいます。何事もバランスが大事ですね。
意識することが、美と健康の秘訣
――これまでに、健康について不安を感じたりしたことはありますか?
2年前に子宮頸がんの検査にひっかかり、それ以降、3ヶ月ごとに経過観察をしています。幸い今のところとくに問題はないのですが、我が家はがん家系で、身内もがんで亡くなっているので、安心を得るためにも、定期的な検査は欠かせませんね。また、両親は健在なのですが、以前父親が倒れたことがあったり、母親が重い更年期症状に悩んでいる姿を見たりしたので、日々の生活のなかで、免疫力を高めたり、ホルモンバランスを整える努力をしなくちゃいけないなと思いますね。
――美と健康も切り離せないものだと思いますが、その道のプロとしてご自身で続けていることや、気をつけていることなどはありますか?
いろいろな方にヘアメイクをほどこしてきた経験上、その人自身やライフスタイルはしっかりと見た目に現れるものだと実感しています。美しさを保つには、内面のケアも大変重要です。ですから仕事をする上でも、ヘアやメイクで表面的にキレイにして終わるのではなく、その人の内側の部分を含めトータルでキレイにしてあげたいという思いで、時には相談にのったり、アドバイスをしたりもしています。それには、私自身も知識を高める必要がありますので、入ってくる情報には興味関心を高く持ち、常にアンテナも張るようにしています。そして、よいといわれるものはとりあえず一度試してみるのが私の主義。ちなみに、最近ハマっているのはコラーゲンカプセルです。
――今後金坂さんは仕事の拠点をハワイに移され、さらなる一歩を踏み出されるということですが、そうやって常に前向きに、バイタリティを持って生きるためのコツはありますか?
毎日を楽しむことでしょうか。先に進むためにはあまり物事を深く考え過ぎず、なるようになるというくらいの気楽さも大事なのではないかと思います。また、時には息抜きも大切。私の場合、まとまった休みには海外旅行に出かけて子どもと一緒の時間を過ごすことが、自分を保つ術となっています。私は性格的にも、自ら目の前に壁を作り、それを乗り越えていくのが好きなタイプなのですが、年齢を重ねても、何事にもチャレンジ精神を持って臨んでいくことが、健康にも、美にもつながるのではないかと思っています。
▼某テレビ局にて、出演者のヘアメイク中。生放送番組ということもあって、時間の猶予なし!