2016.10.13
子宮頸がん

子宮頸がんの検査方法と治療法

患者数が年々増加傾向の子宮がん

The human female reproductive system (or female genital system) contains two main parts: the uterus, which hosts the developing fetus, produces vaginal and uterine secretions, and passes the male's sperm through to the fallopian tubes; and the ovaries, which produce the female's egg cells.日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が死亡すると言われているがんは、医療技術の進化により早期発見が可能になってきている。がんの検査方法と治療法シリーズ第15回は、50〜60歳代の女性がかかる確率が高く、2012年の罹患数第5位の子宮がんについて紹介する。

子宮は、子宮体部と子宮頸部によって構成されている臓器で、受精卵の着床や胎児の発育の場となるスペースだ。そこに生じる悪性腫瘍を総称して子宮がんといい、子宮の下部の入り口に位置し、膣と繋がっている子宮頸部にできる子宮頸がんと、子宮上部の胎児を育てる子宮体部にできる子宮体がんの2つに大きく分けられる。今回はこのうち、子宮頸がんの検査法や治療法について解説する。

組織診とコルポスコープ診の比較

子宮頸がんの有無を調べるには、まずパパニコロウ検査と呼ばれる細胞診が行われる。膣から綿棒などを挿入し、子宮頸部の粘膜を擦り取る。採取した細胞を特別な染色法で染めると、正常か異常なのかを判別することができる。簡便な検査ではあるが、子宮頸がんの発見に非常に役立つ検査といえる。

さらに詳しい情報を知る方法に、コルポスコープ診というものがある。この検査では、コルポスコープ(腟拡大鏡)と呼ばれる器具を用いて、子宮頸部粘膜の状態を拡大鏡で観察し、気になる部位をリアルタイムで検索する。ここで、細胞診とコルポスコープ診査の特徴を比較してみよう。

時間 費用 リアルタイム
細胞診 短い 安い 不可
コルポスコープ 長い 高い

コルポスコープでは、大きな器具を膣内に挿入するため、違和感や痛みを感じる人もいる。検査中に気になる病変が見つかった場合は、そのまま組織を採取することもできるが、出血や痛みを伴うこともある。子宮頸部の悪性腫瘍が確認されると、次に超音波検査やCT、MRI検査などの画像診断を行い、性質や形状、腫瘍と周囲の臓器との位置関係や、転移の有無などを確認し、治療計画に役立てていく。

子宮頸がんの治療法

子宮頸がんの治療では、病態や病期に応じて外科療法、放射線療法、化学療法が行われる。進行度の低い子宮頸がんでは、子宮の部分切除や全摘除することが多い。この段階であれば、腫瘍が表層にのみ留まっているため、完治する可能性も高い。ステージⅢ~Ⅳといった進行度の高い子宮頸がんとなると、外科療法単体での治療が難しく、放射線療法と化学療法が主体となり、完治する可能性は非常に低くなる。

20代後半から30代、40代と罹患率が高まる子宮頸がん。若い女性のリスクが高く、若さゆえにがんの進行も早いケースもある。定期的に組織診などを受けることによって、早期発見を心がけたいところである。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部