2016.4.11

ミドリムシは栄養素の宝庫!その実体と働きは?

ミドリムシは59種類もの栄養素をもっている!

Euglena Photomicrograph最近、サプリメントや飲み物、お菓子やパンなどで見かけるようになった「ミドリムシ」。学名をユーグレナといい、その正体は、5億年以上前からある「藻」の一種だ。もちろん食べても問題はない。淡水に生息し、植物のように光合成をしているが、動物のように動くことができる珍しい微生物だ。わずか0.05mmの全長ながら、多くの働きと可能性をもっている。では、ヒトが体内に取り入れることで、どんなメリットがあるのだろうか。

注目すべきは、なんと言っても栄養価の高さ。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、DHAやEPAと行った不飽和脂肪酸など59種類の栄養素を持っており、これは人が生きていくうえで必要な栄養をほぼ満たしている。仕事が忙しくて食事が偏りがちな現代人にとっては、これひとつで栄養バランスをサポートとしてくれる心強い存在だ。

栄養価が高いだけじゃない、ミドリムシなら吸収率がスゴイ!

本来、動物も植物もリン脂質からなる細胞膜をもつ。植物は、これに加え、細胞膜の外側をセルロースからなる細胞壁で覆われている。ミドリムシは植物の特性をもちながらも、細胞壁がない珍しい生物だ。ヒトは、植物から栄養を摂取するとき、細胞壁を構成するセルロースの分解酵素をもっていないため、消化効率が悪く、栄養を吸収しづらくなる。しかし、細胞膜で形成されている動物の栄養素ならば、効率的な吸収を行える。つまり、細胞膜でできているミドリムシを身体に取り込めば、植物性栄養素であっても、動物性栄養素のもつ吸収率の高さを実現できるのだ。

また、ミドリムシ特有の成分「パラミロン」には、デトックス作用がある。パラミロンは無数に穴をもつ構造をしており、コレステロールなどの不要物をその穴に吸着させることができる。食物繊維と同じく消化されない性質も併せもっているので、不要なものを体内で吸収せずに排出することが可能だ。ほかにも、尿酸値を上げるプリン体の吸収抑制や、オリゴ糖より乳酸菌を活性化してくれることが分かっている。

女性の味方!お肌ぷるっぷる、髪はツヤッツヤに!?

ミドリムシは、美容面の効果も報告されている。紫外線防御効果、肌にハリをだす皮膚の繊維芽細胞の増殖、コラーゲンやヒアルロン酸の提供など、美容面でも期待されている。また、ミドリムシのもつアミノ酸に髪の修復作用も認められ、ヘアケアにも応用されている。さらに、血糖値コントロールや脂肪燃焼、筋線維や骨量の増加にかかわるアディポネクチンというホルモンの分泌を促し、アンチエイジング効果があるかもしれない。知れば知るほど、ミドリムシの魅力は多い。

食べ物、飲み物、サプリメント、シャンプーやクリームなど、さまざまな形で健康維持に役立つミドリムシ。東京大学をはじめ、国内の大学研究機関で研究や開発が行われており、前途有望だ。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部