2016.3.24
30代後半女性の健康リスク

30代後半女性が受けておきたい人間ドック

女性ホルモンのバランスが変化する年代

Woman resting on fitness ball現代の女性にとって30代後半は、職場では責任のある仕事に就いていたり、仕事と家事や子育てを両立していたりと、充実している反面で心身共に負担がかかりやすい時期である。忙しいにもかかわらず、体力的には下り坂にあり、疲労やストレスの蓄積が、慢性的な体調不良や思わぬ病気に繋がりかねないので注意が必要だ。

個人差はあるが女性ホルモンのひとつであるエストロゲン(卵胞ホルモン)は35~37歳で減少し始める。エストロゲンは疲労や心的ストレスによってもその分泌が抑制されてしまう。エストロゲンが減少するとその分泌を促す性腺刺激ホルモンが過剰に分泌され、これらのバランスが崩れて起こる症状が若年性更年期障害である。女性ホルモンは卵巣や子宮、乳腺の機能を維持するばかりでなく自律神経の働きにも深く関わっているので、月経不順、手足の冷え、倦怠感、不安感など更年期障害とよく似た兆候があらわれる。

また30代には稀であるが卵巣機能の低下が進行し、早期閉経が近づいている場合もあるので、症状に心当たりがあれば検査を受ける必要がある。血液を採取して血中のエストロゲン濃度(エストラジオール値)、性腺刺激ホルモン濃度(LH、FSH値)を調べれば卵巣機能の状態やホルモンのバランスを知ることができる。

ホルモンバランスの乱れによる若年性更年期障害であれば、医師の指導による生活習慣の改善や投薬治療で不快な症状を改善できるので、早めに婦人科の専門医に相談してはいかがだろうか。

甲状腺ホルモンの異状による体調不良

この年代は、甲状腺ホルモンの変調による自己免疫疾患、いわゆるバセドウ病や橋本病にも注意しておきたい。女性の発症数は男性の約4倍におよび、20代で急増して30代でピークを迎える。月経不順や倦怠感など若年性更年期障害に似た症状に加えて手足のむくみや頸部の腫れなどの特徴的な症状が現れる。血液検査(FT4、TSH値)で診断できるので、人間ドックや健康診断のときに、併せてチェックしておくべき項目である。

このほかにも乳がんや子宮がん、卵巣がんや子宮筋腫、子宮内膜症などの女性特有の病気や、生活習慣病のリスクが高まっている年代である。今までに増して総合的な診断が必要だ。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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Colorda編集部