2016.4.18

座りすぎが「死因」になる可能性がある!

「しょうがない」ではもうすまない、座りすぎは危険

Businesswoman Suffering From Back Pain現代人は、肩こり、腰痛、冷えなどに悩まされている。原因はデスクワークや、テレビ、パソコンの前に長時間座っていることだと薄々わかっていながら、やめられないのが現実。また、仕事となればやむを得ないというのが、これまでのやり方だったかもしれない。しかし、この座りすぎが不調にとどまらず、命にかかわるとしたらどうだろう。

足の筋肉が動いているときは、糖や中性脂肪が使われる代謝が盛んだが、座っていると代謝が低下する。さらに血流も悪くなることで、血液がドロドロに。その結果、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病のリスクが上がるのだ。これらの病気になる前に、長時間の座りについて、本気の改善が必要なときがきている。

世界の中でも、日本人は座っている時間が長い!

世界20ヶ国で比較したところ、日本人が1日に座っている時間は7時間。20ヶ国中、なんとワースト1位。オーストラリアの研究者によれば、座る時間が4時間未満の人に対して、11時間以上の人は死亡率が40%高くなるという報告がされている。

アメリカのIT企業やオーストラリアの小学校では、高さが調節可能な机の導入で、立った姿勢で仕事や勉強ができる環境があるところもある。また、北欧諸国のオフィスでは、新しくそろえる机のほとんどがスタンディングデスクだという。すでに、座りすぎの健康に及ぼす悪影響に対策をとり、実践しているのだ。日本でも最近、スタンディングデスクを導入した企業が出てきた。結果、作業能率が上がった、仕事終わりに体の痛みがないなどのメリットが増えているという。こうしたことをふまえると、座って仕事をするという常識自体を、考え直す必要性を感じる。

座り続けない習慣を身につけよう!

まずは、30分から1時間以上座ったままにならないこと。移動は車を使わず、電車では立ち、家事やストレッチを積極的に行う。テレビを観るときは、CMになったら動く、椅子やソファの上にバランスボールを置いて腰かけ、身体を揺らして同じ姿勢をとり続けないなどの工夫を。

オフィスでは、コピーを率先して取りに行くなど動くことを意識しよう。また、立ったからよいというわけではなく、動きをプラスするのが肝心なので、かかとの上げ下げや太ももを使うことを忘れずに。デスクの下で足を上げてつま先を伸ばすといった動きも効果がある。動くことに対して億劫になるのは、習慣によるところが大きい。今から座り癖がつかないように心掛けをしていこう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部