2015.5.18

「医薬品」と「医薬部外品」の“違い”と“選び方”

「医薬品」と「医薬部外品」の違いってなに?

医薬品と医薬部外品薬などのパッケージで「医薬品」「医薬部外品」といった表示をよく見かけるが、この2つの違いはどこにあるのだろうか。

「医薬品」と「医薬部外品」には、“目的”と“効果”の点で大きな違いがある。

「医薬品」は、病気の予防・治療を目的とした薬であり、厚生労働省から「配合されている有効成分」の効果が認められたものを呼ぶ。医師の診断によって処方される「医療用医薬品」と、薬局・薬店で市販される「OTC医薬品(風邪薬、目薬など)」がこれにあたる。「OTC医薬品」のOTCとは、英語の「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、「カウンター越しに薬を販売できる」ということを意味している。処方箋がなくても、薬剤師さんや登録販売者のいる薬局やドラッグストアでの購入が可能だ。

「医薬部外品」は病気の予防、衛生などを目的とした薬で、有効成分が一定の濃度で配合されている。医薬品より効果が穏やかなのが特徴で、整腸剤、薬用化粧品などがこれにあたる。

「医薬品」を選ぶときには薬剤師等に相談しよう

それでは、医師の処方箋がいらない「OTC医薬品」を自分で選ぶときには、どのようなことに気をつけたらよいのだろうか。

購入の際には、自分で薬のメーカーや銘柄を指定することも可能だが、薬局・薬店に薬剤師や登録販売者がいる場合には、症状を相談して適切な薬を選んでもらうほうが安心である。

なお、OTC医薬品は副作用や注意すべき度合いに応じて以下の4つに分類される。このうち、薬剤師はすべての取り扱いが、登録販売者は第2・3類医薬品のみの取り扱いが可能である。

  • 要指導医薬品:初めてOTC医薬品として市場に出るなど、十分な注意が必要なもの。薬剤師から書面で説明を受ける必要がある。
  • 第1類医薬品:副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するもの。
  • 第2類医薬品:副作用、相互作用などの項目で安全性上、注意を要するもの。主な風邪薬や解熱剤、鎮痛剤など日常生活で必要性の高い製品が多く含まれる。
  • 第3類医薬品:第1・第2類医薬品に相当しないもの。

「医薬部外品」を選ぶときには「表示指定成分」に注意

これに対して、「医薬部外品」は日常生活でも身近なため、自分で選んで購入することが多い。整腸剤や薬用化粧品のほか、育毛剤、殺虫剤など、種類や用途も多様だ。

このときに気をつけたいのが、パッケージ等に記載されている「表示指定成分」だ。アレルギーを起こす可能性のある約140成分が「表示指定成分」とされ、「医薬部外品」がこれを使用したときは成分を表示する義務がある(例:パラベンなど)。特定の成分にアレルギーがある場合は、トラブルを未然に防ぐために表示をよく確認してから購入したい。

「医薬品」と「医薬部外品」の違いと特徴を知り、上手に活用して健康的な生活を送りたい。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部