2016.9.12

Vol.2 更年期障害チェックリスト! 症状に自覚アリなら診断を【更年期障害ノート】

心と身体、更年期障害の症状をチェック

Headache更年期障害とは、年齢45~55歳ごろの、閉経を迎えちょうど生殖機能が低下しはじめるころに起こる、日常生活に支障が出るほどの不調のこと。実は、女性だけでなく男性も更年期障害は起こりうるのだが、まずは、女性の更年期障害の症状について詳しく説明しよう。

女性の更年期障害のおもな要因は、生殖機能の低下による女性ホルモンのエストロゲンの減少。症状は、のぼせ、ほてりなどの自律神経失調症の症状、イライラ、うつ病などの精神症状、そのほかにみられる病状の3つに分けられる。以下の症状のなかに当てはまるものがあるかチェックしてみよう。

自律神経症状

ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗、冷え性、動悸、耳鳴り、腹痛、疲労感、血圧の激しい変動など

精神症状

憂うつ、精神不安定、不安感、睡眠障害、頭痛、めまい

その他の症状

肩こり、関節痛、腰痛、筋肉痛、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、疲れやすい、口の渇き、皮膚のかゆみ

とくにホットフラッシュは、閉経女性の40~80%が症状をうったえており、10年近く続くこともある。憂うつと肩こりも同じく閉経女性の多くに見られる症状で、その数は40%にのぼる。これらの症状には心身の相関関係がみられ、身体のつらさが怒りっぽさやうつ、睡眠障害などを招く。

女性だけじゃない、男性の更年期障害もつらい

男性の更年期障害は、40歳以降に、加齢やストレスによって、男性ホルモンであるテストステロンが減少にともなって、発症する。筋力低下、性欲減退、無気力などがおもな病状だが、メンタルと連動する傾向が強い。イライラや神経質、不安感もそのひとつ。血管の細さが影響するED(勃起障害)、頻尿などの症状もある。

女性に比べて症状が軽いように思われるが、こうした精神症状による自殺やメタボから寿命を縮めることにもなりかねない。女性のように閉経で症状が落ち着くというサインがないため、対策や付き合い方も重要だ。

30代になったら筋トレや、タンパク質、ビタミン類の摂取をおこたらず、睡眠時間をきちんと取って筋力を落とさない生活にシフトすること。また、ストレスがテストステロンの生成を妨げてしまうので、無理は禁物だ。心身ともに健康的な生活を心がけよう。

症状がつらくなる前に、診断を受けてみる

上記の症状にあてはまるものが多かったり、気になる項目があったりした場合には、婦人科や泌尿器科、更年期外来に行き、ホルモン値の検査をはじめ診察を受けてみるのがいいだろう。とくに40歳を超えている場合は、更年期障害かもしれない。なんとなく不調を感じていても、自分は更年期障害だと自覚できる人は少なく、そのまま放置していて症状が悪化していくことが大半だ。女性は生理周期の乱れ、男性はうつ傾向や精力減退もひとつの目安。と同時に、セルフケアもしておこう。肩こり、腰痛改善には、ストレッチや軽い運動、姿勢の見直しや入浴で血流を良くするなどが有効だ。メンタル面では、深呼吸の習慣で自律神経を整える、仕事以外に趣味を持つといった対策も効果的。

更年期障害の症状は、気づかなかったり、「なんとかなる」と放置したりしてしまいがち。心身ともに耐えきれなくなってから診察を受けるより、40歳を迎えたら早めに医療施設で検査、相談しておこう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部