2016.10.3

Vol.4 難しいことゼロ。更年期障害を和らげる習慣3つ【更年期障害ノート】

早寝早起きでメラトニンの分泌サイクルを正常化

Woman stretching in bed after wake up, back view睡眠不足は、性ホルモンの分泌を低下させてしまう。深い眠りを得るためには、成長ホルモンがもっとも分泌される22時~2時にかけて眠るのが効果的だ。質のよい睡眠に欠かせないメラトニンという物質は、光を浴びると約14時間後に分泌されはじめる。8時までには朝日を浴び、22時にはメラトニンを分泌させるサイクルを作るとよい。寝る2時間前からは、スマホやテレビを見るのを避け、部屋の照明も落としておこう。

また、メラトニンは、セロトニンから合成される。セロトニンを増やすには、朝日を浴びる、深呼吸をする、ストレスをためない、リズム運動をする、ペットとのスキンシップなどが有効だ。セロトニンのほとんどは腸で作られているので、腸内環境の美化にも努めたい。腸内環境を整える菌を含むヨーグルトや味噌、腸をあたためるスパイスを使ったカレーやスープ、セロトニンのもとになるアミノ酸を含む肉や魚などを、バランスよく摂取することを心がけよう。

ハーブで五感をリラックス

日常的にハーブや精油を使い、不定愁訴を和らげるのもよい。ハーブには抑うつ改善や精神を安定させる作用があるほか、更年期障害の身体の症状を緩和させるものもある。男女それぞれの症状に有効な成分を含むハーブをチョイスし、まずは気軽にハーブティーで飲んではいかがだろうか。ホットフラッシュにはセージ、不眠や抑うつにはセントジョンズワート、むくみにはスギナ、クミスクチンがおすすめ。

成分を体内に取り込むだけでなく、精油を使ったマッサージや入浴もリラックス効果が高い。精神的に不安定なときはローズやネロリの精油でマッサージを、冷えやのぼせにはラベンダーのバスソルトなどが最適だ。

笑う、会話する、深呼吸で副交感神経を優位に!

自律神経には、興奮状態のときに活発になる交感神経と、鎮静時に優位になる副交感神経があるが、更年期障害の症状を和らげるには、副交感神経をうまく働かせることが必要。それには、ストレスをためないことが第一だ。DHEAと呼ばれる抗ストレスホルモンは、副腎でコレステロールから合成され、性ホルモンに変換される。DHEAは年齢とともに減少するが、さらにストレスで副腎疲労になるのは避けたい。

食事、運動、睡眠への気配りのほかに、笑いや会話、音楽を聴く、入浴、呼吸を深くすることなどが対策となる。また、「きれいだね」「かっこいい」「助かった」「ありがとう」などの褒め言葉は、無気力に歯止めをかけ、自尊心を高めてくれる。感動して泣くこともよく、映画やスポーツ観戦をして心を動かすことも習慣に。

のぼせやイライラ、動悸など、自律神経系の症状が多く見られる更年期障害。十分な睡眠と休息、心やすらぐ時間やコミュニケーションを持つことが大切だ。不摂生がある場合は見直して、自分なりの更年期対策を見つけておこう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部