2017.9.7
更年期障害を調べるオプション

人間ドックのオプション、更年期障害を調べる血液検査「E2」と「FSH」

40代から気をつけたい、エストロゲンの分泌量がカギを握る更年期障害

人間ドックを受診する際は、受診者それぞれが気になる部位や病気リスクをより詳細に調べることができるオプション検査をぜひ活用してほしい。血液検査やMRI、CT、マンモグラフィーやエコー、内視鏡などの画像診断など、医療施設によってさまざまな種類がある。今回は、40代から50代の女性に有効な、更年期障害を調べる血液検査「E2」と「FSH」(Follicle-Stimulating Hormone、卵胞刺激ホルモン)を紹介する。

更年期障害とは、卵巣機能低下に伴うエストロゲンの減少がおもな原因となって現れる体調不良、不定愁訴(ふていしゅうそ)の総称である。その症状は、頭痛、疲労感、抑鬱や焦燥感、手足のしびれや耳鳴りなど、精神神経症状から知覚神経症状まで多岐に渡る。器質的疾患がないにも関わらず、自律神経失調を中心としたさまざまな症状が出現するのが特徴だ。病気の原因が明確でないため、焦りや苛立ちはさらに悪化していく。そんな更年期障害の診断には、血液検査が役立つ。調べる数値はおもに「E2」と「FSH」のふたつだ。

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更年期障害になると減少する物質「E2」

女性ホルモンの代表であるエストロゲンは、卵巣における排卵を制御したり、乳腺細胞の増殖を促したりするなど、重要な生殖機能の一端を担っているホルモンであるだけでなく、自律神経の制御にも関係している。エストロゲンのおもな構成要素は、E2(エストラジオール17β)という物質で、このE2は、閉経を迎えると血中濃度が低下する。つまり、エストロゲンの産生も低下するため、更年期障害では、生殖機能の低下、自律神経系のさまざまな不調が引き起こされる。

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更年期障害で高値を示す「卵胞刺激ホルモンFSH」

FSHは、卵巣の発育や生殖機能を高めるホルモンであり、卵巣機能が低下すると血中濃度が上昇する。つまり、血液検査によってFSHの値が高まっている場合は、更年期障害によってエストロゲンの産生が抑制され、卵巣機能が低下している可能性が高いと判断できるのだ。

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更年期障害の治療法とは?

更年期障害の症状は、重症度も継続期間も個々によって大きく異なる。そのため、自覚症状がない人もいれば、治療を必要とするほど症状が強く現れる人もいる。後者のケースでは、第一選択として、ホルモン補充療法(HRT)が行われることが多い。欠乏しているエストロゲンを投与することで、更年期障害による症状を安定させる。ただし、エストロゲンには子宮内膜の増殖やエストロゲン依存性腫瘍の発生など、いくつかリスクもあるため、副作用や禁忌症については事前にきちんと理解しておく必要がある。

原因不明の体調不良に悩んでいる女性は、血液検査を一度受けてみることをおすすめする。また、早めに検査を受けて、数値の変化をみながら生活習慣の改善など、更年期障害の予防に努めてもよいだろう。

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上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部