2017.7.24

コラーゲンとは? 【アンチエイジング成分論Vol.3】

実はタンパク質のひとつ「コラーゲン」

年齢を重ねてもいつまでも若々しく過ごすニーズが高まり、近年、注目を集めているアンチエイジング。美容面、健康面において、加齢による老化現象を限りなく小さくすること、老化速度を緩めることをいい、「抗老化」「抗加齢」と訳される。老化現象を少しでも和らげる効果を求めて、さまざまな成分が研究されているが、今回はなかでも一般に広く知られている「コラーゲン」に注目してみよう。

コラーゲンといえば、多くの美容アイテムに含まれている成分で美肌に欠かせないイメージが定着しているが、皮膚、腱、骨、軟骨などを構成する繊維状のタンパク質の一種だ。アミノ酸を原料として体内で生成され、体内のタンパク質のうち約30%を占めている。うち40%が皮膚に、20%は骨や軟骨に分布している。コラーゲンは年齢とともに、体内の産生力が低下すると言われている。

美肌や関節のためのサプリメント多数。コラーゲンの効果効能

コラーゲンは皮膚や骨、軟骨などに含まれており、コラーゲンの産生力低下が肌のハリ不足や、関節痛を引き起こす。そこに着目したコラーゲンを含むサプリメントや食品が多く販売されている。例えば、機能性表示食品分野では、ひざ関節の柔軟性、可動性をサポートする効果をうたったコラーゲンを含むサプリメントが、消費者庁に20商品以上登録されている(※)。機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことだ。

ただし、コラーゲンを摂取したからといって、そのまま肌や皮膚に届くわけではないことは覚えておきたい。コラーゲンはもともと高分子のタンパク質であり吸収されづらいため、最近では、吸収率に優れている低分子コラーゲンが注目を集めている。だが、いずれも摂取したコラーゲンはいずれも、消化の過程でアミノ酸やペプチドなどに分解されたのち、必要に応じて体内で再びコラーゲンへと変わる。そのため、美肌や関節への効果が出るかは明らかになっていないことも、実は多い。

コラーゲンの摂取量と多く含む食材

コラーゲンの1日の摂取量は決まっておらず、普段の食事からタンパク質を必要な分摂取していれば生成に問題はないとされている。18歳以上の1日のタンパク質推奨量は男性が60g、女性が50gだが、体型によって必要量が変わるため、体重1㎏あたりタンパク質1gの摂取が目安になる。豚足やフカヒレはコラーゲンの多い食品ではあるが、身近な食材でコラーゲンが比較的多いものは、アジ、ヒラメ、ウナギ、アサリ、豚レバーなどで、タンパク質の含有量はいずれも100gあたり約20g、手羽元、手羽先、砂肝は約18gとなっている。

体内でコラーゲン生成をするときにはアミノ酸、ビタミンC、鉄が必要になる。まずはアミノ酸やビタミン類をバランスよく摂るように心がけることが大切だ。コラーゲンをくまなく吸収するには、鶏ガラ、手羽元、魚などを煮込んだ煮汁をスープとして飲んだり、煮汁が冷えて煮こごりになったものを食べたりするのがよい。ちなみに、コラーゲン配合の化粧品は、肌なじみがよいためにある程度の時間は皮膜を作ってくれるのだが、残念ながら肌の真皮まで入ってコラーゲンを補う、増やすといった作用はないという。

コラーゲンはまだ効能が明らかにされていないことも多いが、関節炎、骨粗しょう症、眼精疲労、高血圧、薄毛や白髪、アレルギー、認知症予防などの効果が期待され現在も研究が進められている。サプリメントやドリンク類で摂る場合には規定量を守り、コラーゲンの原材料を調べ、アレルギーの有無や安全性を確かめてからにしてほしい。

※消費者庁 機能性表示食品の届出情報(2017年7月時点)

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部