2017.8.28

DHAとは? 【アンチエイジング成分論Vol.5】

体内では作ることができない必須脂肪酸「DHA」

「抗老化」「抗加齢」と訳されるアンチエイジング。美容面、健康面において、加齢による老化現象を限りなく小さくすること、老化速度を緩めることをいい、近年、注目を集めているキーワードだ。老化現象を少しでも和らげる効果を求めて、さまざまな成分が研究されているが、今回はDHA(ドコサヘキサエン酸)に注目してみよう。

DHA(Docosahexaenoic acid)は、日本語でドコサヘキサエン酸といい、おもに魚に含まれる必須脂肪酸のひとつだ。体内では合成できず、外から摂取が必要となる。体内では、脳や神経細胞、精子などに多く含まれており、脳のなかで記憶や学習を司る海馬には、DHAが多く存在することがわかっている。

健康への有効性が認められているDHA

「中性脂肪が気になる方の食品」と表示することで、特定保健用食品が許可されているDHA(ドコサヘキサエン酸)。医学研究で明らかになっているDHAの効果は、中性脂肪を減らすことと、血小板凝集を抑えることの二つだ。

中性脂肪が減ると、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病になるリスクが低くなる。また、血小板の凝集が抑えられると、血栓ができにくくなるため、脳梗塞や心筋梗塞を予防できるかもしれない。

現在、DHAの研究は多岐にわたっており、心筋梗塞の既往歴があり治療中の患者や、高血圧治療を受けている2型糖尿病患者、非アルコール性脂肪性肝疾患の小児などを対象に疾患や健康維持への有効性の研究が進められている。

DHAの安全性と摂取量

成人、妊婦、小児とも適切に用いれば安全だとされているが、成人の場合、1日3g以上の摂取で凝血能が低下し、出血傾向が起きることがあると報告されており、過剰摂取は禁物だ。1日あたり2g前後のDHAを摂取するのがいいだろう。食品に含まれるDHAは、それぞれ可食部100g中、クロマグロ(脂身)3,200mg、ブリ1,700mg、さんま1,700mg、真鯛(養殖)890mgなどだ。また、市販されている特定機能性食品の含有量は300mg〜500mgのものが多くみられる。サプリメントなどで補給する場合は、普段から青魚を積極的に食べるなど、食品からの摂取も考慮してほしい。

※1 文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表脂肪酸成分表編」

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部