2017.9.4

イソフラボンとは? 【アンチエイジング成分論Vol.6】

ポリフェノール類のひとつ「イソフラボン」

年齢を重ねてもいつまでも若々しく過ごすニーズが高まり、近年、注目を集めているアンチエイジング。美容面、健康面において、加齢による老化現象を限りなく小さくすること、老化速度を緩めることをいい、「抗老化」「抗加齢」と訳される。老化現象を少しでも和らげる効果を求めて、さまざまな成分が研究されているが、今回は「イソフラボン」に注目してみよう。

イソフラボン(Isoflavone)は、大豆や葛の根などマメ科の植物に多く含まれる成分でポリフェノール類のひとつ、フラボノイドの一種だ。おもなイソフラボンは、ダイジン、ゲニスチン、グリシチン、ビオカニンA 、フォルモノネチンなどがある。イソフラボンは植物性エストロゲンと呼ばれることもあり、女性ホルモンに近い働きをするといわれている。また、日本では、大豆イソフラボンが有名である。

更年期障害ののぼせに有効性があるイソフラボン

アメリカ心臓協会が、更年期の女性のほてりなどの血管障害に対して、イソフラボンの有効性を発表し認められている。具体的には、イソフラボン34~76 mgを含む、20〜60gの大豆たんぱくを摂取することで、ほてりの重症度と頻度をやや軽減する結果が出た。大豆イソフラボンエキスを摂取する場合は、35~120 mgで同様の結果になる。しかし乳がん患者のほてりには効果がないと報告がある。

日本の研究では、日本人女性が3ヶ月間、大豆イソフラボンアグリコン錠剤 (40 mg/日) や大豆胚軸抽出物2,520 mg含有チュアブル錠 (大豆イソフラボンとして71.1 mg/日) を摂取し続けたところ、血中卵胞刺激ホルモン濃度の低下、血中イソフラボン濃度の上昇、自覚症状の問診結果で症状の緩和が認められたという報告がされている

一方で、大豆イソフラボンに関しての更年期障害への有効性は、米国医療研究・品質調査機構の報告によると矛盾が多く、証拠不十分とされている。

2型糖尿病への有効性が示唆されている大豆イソフラボン

糖尿病患者が大豆イソフラボンを経口摂取することで、LDLコレステロール値、インスリン耐性が改善したことが報告されている。実際の研究では、閉経後の2型糖尿病女性が対象とされていた。

骨を健康の保つ、大豆イソフラボン

イソフラボンは、経口摂取で骨粗しょう症予防に有効とされている。とくに更年期女性において骨に好影響をもたらすと報告されている。そのため、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品が発売されている。

一方で、アメリカ心臓協会や米国医療研究・品質調査機構は、大豆イソフラボンの骨密度や骨減少への関与は証拠不十分としている。

イソフラボンの安全性

食品に含まれる量であれば、成人、妊婦や授乳婦、小児ともおそらく安全に問題はない。しかしイソフラボンは女性ホルモン様作用があるため、乳がんや子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症などの人は、摂取を避けることが望ましい。

現在、国内では、大豆イソフラボンを使用した、栄養補助食品や粉末飲料、大豆加工品、清涼飲料水、菓子類などで、体脂肪を減らす、骨代謝を促す、中性脂肪を抑える目的の機能性食品が60商品以上販売されている(※1)。自分自身の体調や体質を考慮しながら取り入れてほしい。

※1 2017年8月時点

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部