2017.8.7

ヒアルロン酸とは?【アンチエイジング成分論Vol.4】

実は糖質。身体のいたるところで必要とされるヒアルロン酸

美容面、健康面において、加齢による老化現象を限りなく小さくすること、老化速度を緩めることをいい、「抗老化」「抗加齢」と訳されるアンチエイジング。老化現象を少しでも和らげる効果を求めて、さまざまな成分が研究されているが、今回はヒアルロン酸に注目してみよう。

ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンが交互に結合した高分子化合物で、ムコ多糖類と呼ばれる糖質だ。眼球の器官のひとつである、透明でゼリー状の硝子体成分として発見された。眼のほかに皮膚、腱、軟骨、脳、血管など至る所にあり、細胞と細胞の間に多く存在している。ゼリー状という特徴から、細胞同士がぶつかり合って傷つかないようにするクッション的な役割や水分保持の役割を持つ。その保水力は高く、1gのヒアルロン酸で6ℓの水分と結合できる。肌のうるおいをはじめ、目の水分調節や関節がうまく動くように、また細菌の侵入を防ぐ役割もしている。

関節機能改善や眼科手術補助など医薬品としても活用されているヒアルロン酸の効果効能

加齢すればするほどヒアルロン酸量は減る。それに比例し、肌の保湿力低下や、腰痛、関節痛、ドライアイなどを引き起こす。医療施設では変形性膝関節症や肩関節周囲炎、関節リウマチの症状を改善するために、ヒアルロン酸を用いた関節機能改善剤を膝に注射し、炎症や痛みを抑えている。また、白内障手術や全層角膜移植術にもヒアルロン酸が使われており、点眼薬などもある。

サプリメントや食品の分野でも人気がある成分で、肌のうるおいをサポートする機能性表示食品や、関節の動きをサポートする機能性表示食品が消費者庁に60商品以上登録されている(※)。機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことだ。

ヒアルロン酸の摂取量と多く含む食材

ヒアルロン酸を多く含む食品は、鶏の軟骨、魚の目玉、鶏のトサカ、豚足、フカヒレ、ねばねばした食材である山芋、オクラ、納豆、モズクなど。しかしこれらは、ヒアルロン酸の分子が大きいために吸収率が悪く、さらに加熱で成分が壊れる性質から摂取がしづらい。

そこで最近は、低分子化したヒアルロン酸を配合したサプリメント、飲料や食品が多く販売されている。しかし摂取したヒアルロン酸が求める肌や眼、関節に使われるとは限らない。そのため、肌や関節への効果が出るかは明らかになっていないことも多い。直接注射するには適しており、美容クリニックでするシワやタルミ改善の注射や、関節に注射する場合は、体内に吸収されにくいかわりに効果が長持ちする傾向がある。

ヒアルロン酸の摂取量の目安は1日120〜240mgで、動物由来でも人工的に作られたものでも安全性は高いとされているが、アレルギーのある人は原材料を調べてから摂取してほしい。また、規定量を大幅に超えると、添加物の影響で内臓に負担がかかる恐れがあるので注意しよう。また、アレルギー体質や服用している薬がある場合には、医師に相談してから摂取することをおすすめする。

※消費者庁 機能性表示食品の届出情報(2017年8月時点)

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部