2015.7.27

厚生労働省も推進しているジェネリック医薬品とは何か?

ジェネリック医薬品とは

ジェネリック医薬品まず、医薬品は大きく2種類に分類される。薬局などで誰でも手軽に購入できる「一般用医薬品」と、医師の判断によって作成された処方箋に基づいて提供される「医療用医薬品」だ。その「医療用医薬品」がさらに「先発医薬品」「後発医薬品」の2種類に分類され、後者がいわゆる「ジェネリック医薬品」と呼ばれるものだ。

「先発医薬品」は「新薬」と呼ばれるもので、医療品メーカーが開発を実施し、その開発をしたメーカーは特許期間として約20年〜25年の間独占して販売をする権利がある。その特許期間が切れると、独占販売の期間が終了し、他のメーカーでも同じ有効成分を用いて医薬品を販売することができるようになり、これが「後発医薬品」である。

ジェネリック医薬品を使うメリットとデメリット

先発医薬品で使われている有効成分を用いて医薬品を作るので、一から新しいものを作る場合と比較すると開発期間や試験の回数などが非常に短くて済む。そのため販売価格を安く抑えることができる。先発医薬品が、開発期間9〜17年、費用が300億円以上かかるのに比べ、後発医薬品(ジェネリック医薬品)は開発期間3〜5年、費用1億円程度となっており、安く提供できるのは納得できるだろう。

一方でデメリットもある。先発医薬品の特許が切れたといっても、その有効成分についての特許が切れただけで、製剤特許や用法特許などが切れていない場合、ほかのメーカーが医薬品を作る際には、添加物の種類や量などを変えなくてはいけない。この調剤方法の微妙な変化により、従来の先発医薬品では確認できなかったアレルギーや副作用などを引き起こしてしまう可能性が存在する。先発医薬品の場合は、市場に出回って年数を経ているため、アレルギーや副作用などのデータも多く集まっているが、ジェネリック医薬品についてはそれらのデータが少ないケースもある。

もちろんジェネリック医薬品は、厚生労働省の審査を経て認可が降りたものだけが市場に出回っており、安全性は概ね保証されている。しかし、先発医薬品と比較するとこまごまとしたデータが相対的に少ないことは覚えておくと良い。

ジェネリック医薬品に変更可能かどうかは処方箋を確認する

ジェネリック医薬品は、どうすれば処方してもらえるのか? 医師や薬剤師に相談すれば、数ある薬の中から、総合的に判断してジェネリック医薬品を提案してくれる。最近は「ジェネリック医薬品お願いカード」が配布されているので、病院で診察券を出す際に、一緒に提示することもできる。

ジェネリック医薬品に変更可能な薬かどうかは、医者などから提供された処方箋のいち項目をチェックすればわかる。ジェネリック医薬品に変更できるかどうかを示す、「変更不可」と書かれた項目があり、ここにチェックが入っていない場合は「ジェネリック医薬品に変更できる」、入っている場合「ジェネリック医薬品に変更できない」ということだ。

前述のとおり、先発医薬品とジェネリック医薬品とでは添加物などの微妙な違いがあるため、処方の際は、自分で決めずに医師や薬剤師に事前に相談をすると、より適切な判断ができるだろう。

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所理事長
マーソ株式会社 顧問
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

Colorda編集部